ATRシミュレーター導入

ATRシミュレーター導入

初めてATR型機シミュレーターの操縦席に座った竹山さん

JAC、日本で初めて 負担軽減、効率化に期待

 【鹿児島】奄美群島の離島航空路などを運行する日本エアコミューター(JAC)は、パイロットや整備士の訓練機材としてATR型機フルフライトシミュレーター=写真=を日本で初めて導入した。

 約20年前の機種であるSAAB型機のシミュレーターは鹿児島空港にあるが、最新機種であるATRは国内に無かった。パイロットや整備士が訓練する際にはシンガポールまで足を運ぶ必要があった。訓練は約2カ月間と長期に及ぶこともあり、上村徹運航企画部長は「費用や職員の心身にかかる負担などが大きかった。負担を軽減し、より効率的な訓練が期待できる」と話す。

 シミュレーターはカナダのTUR社製で、今年1月にカナダから移送。国の検査などを経て4月から本格的に稼働している。

 ATR機の操縦席を忠実に再現しており、離着陸時にかかるGなどの実際の操縦時と同じ感覚をリアルに体感することができる。鹿児島から奄美など実際の離島運航を模擬体験できるグラフィックシステムも導入されている。雨、風など様々な気象条件だけでなく、世界各地で過去に起きた航空トラブルのデータもインプットされており、想定されるあらゆるトラブルへの対処法を訓練で体感できる。稼働する際のコンピューターもよりコンパクトになり、省エネ化が図られているという。

 JACでは現在4機のATR型機が運航しており19年までに9機体制にする予定。JACの奄美出身パイロットとしては2人目となる竹山翔太さんは「SAABのシミュレーターに比べると計器類もデジタル化されて新しくなっている。いずれATR機を操縦することになると考えると身が引き締まる」と話していた。
     (政純一郎)