「島の保健室」開所

「島の保健室」専属コミュニティナースとして加計呂麻島に配属された中村さん

休校中の俵小学校に看護師常駐で悩み解決
瀬戸内町

 瀬戸内町は1日、同町加計呂麻島で休校となっている俵小学校に「島の保健室」を開設した。同保健室には診療看護師の中村幸代さん(36)を配属し、医療のみならず、住民の地域生活課題の相談に応じ、解決のサポートなども行う。住民と中村さんが協力することで、地域コミュニティの再生につながることが期待される。

 同町は昨年度から県大島支庁瀬戸内事務所と共同で、厚生労働省事業を活用した「チーム瀬戸内“我が事・丸ごと”支え愛事業」を推進している。同事業は多機関協働による包括支援体制構築を目指しており、「島の保健室」もその一環として開設された。同保健室に関しては昨年4月に発足した地域医療連携法人アンマが事業を受託する。

 同保健室専属コミュニティナースとなった中村さんは、今後加計呂麻島全域の住民から連絡があれば地域に出向き、相談に乗るなどする。また、地域で行われるサロン活動などに参加し健康に関する情報を発信したり、血圧計や体重計の貸し出しなどの啓発活動をすることも予定。支援の必要性がある人や、集落区長や民生委員が気になっている人を病院・地域包括支援センター・行政などと連携し、適切な支援につなぐ役割を担う。

 また、毎週水曜日には同小で「島の保健室カフェ」を開き、地域住民が気軽に相談できる環境も作る。中村さんは「“ちょっと”の安心を届けられる看護師になりたい。フットワーク軽く動き、柔軟な気持ちを持っていたい」と語る。

 この日の開設式には、町関係者や島内集落の区長・住民など約50人が参加。同法人の桂久和代表理事は「医療に携わる者として、島の保健室は画期的。全国の過疎地の医療・福祉のモデルとなる事業」などとあいさつした。

 同集落に住む男性は「集落のお年寄りが話をできる機会が多くなるのは良いこと。島の外から来た人なので客観的に相談を聞くことができるのではないか」と期待を寄せた。