地域経済活性化フォーラム

地域経済活性化フォーラム

奄美の地域活性化に関した講演やパネルディスカッションなどが行われた地域経済活性化フォーラム

人材育成と制度づくりを
「地域振興と自然保護両立必要」
基調講演やパネルディスカッション

 

 鹿児島財務事務所と奄美市は5日、同市名瀬のAiAiひろばホールで第3回地域経済活性化フォーラム「シマノフォーラム~奄美、魅力、クリエイト~」を開いた。基調講演やパネルディスカッションが行われ、奄美の地域活性化や観光による地域づくりなど意見を交わした。人口減少化社会をインバウンド(訪日旅行者)の交流人口でカバーすることや、観光などに人材育成が重要とする提言があった。

 同事務所は財務省の総合出先機関で、金融庁からの事務委託を受けた組織。地域と省庁のネットワークを広げるため、昨年は同フォーラムを2回開催。今回は「奄美群島の地域活性化を図るためにどのように取り組むか、観光を軸にどのように取り組みを発展させていくか」をテーマとして開かれた。

 開会で同事務所の川﨑達也所長があいさつ。「フォーラムで意見を共有し議論することで、奄美群島を思う『絆』をより深いものにしていきたい」などと話した。

 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の頼あゆみ次長が、「地方創生の取り組みについて」と題して基調講演。「日本は人口減少社会。人口の東京一極集中や、三大都市圏の出生率が低いことなどが減少要因。観光地域のマネジメントに日本版DMOがあり、2020年までに100組織形成を目指す」と説明した。

 鹿児島県観光プロデューサーの古木圭介さんは、演題「離島は観光の宝 世界を旅して考えたこと」で登壇。「人口減少は、インバウンドの交流人口でカバーするしかない。奄美には、長期的展望で地域振興と自然保護を両立させることが必要だろう。そのかじ取り役がDMOでないか」「国際化、情報化への対応が、地方創生のキーポイント。幕末・明治維新に学び、視野の広いリーダーとなる人材育成が最重要」と語った。

 休憩後にパネルディスカッションを実施。川﨑所長がコーディネーター、古木さんがコメンテーターとなり、パネリストで㈱島津興業のアレックス・ブラッドショーさん、サイバー大学IT総合学部の勝眞一郎教授、合同会社Go!Kagoshimaの門田晶子代表、町田酒造㈱の中村安久代表取締役社長が登壇した。

 奄美の魅力について、人柄がいいことや、風光明媚な自然といった意見が出された。課題として、「行政は民間主導の観光に関する取り組みを、もっとサポートする」「インバウンドに対して、日本語のパンフレットをただ英訳するだけでなく、ストーリー性がしっかり分かるような説明が必要」などが挙げられた。

 地方創生について、地域コミュニティの維持や観光をてこにした産業創出、広域的な連携体制をとる必要性などの声が聞かれた。観光面では、「質の高いガイドを育成しガイド料を取るシステムや、インバウンドが地域の人にお金を払ってくれるような仕掛けをいろいろ作る」などアドバイスがあった。

 6日は、同会場で奄美を豊かにするための観光などについて、有識者の意見交換会が行われる。