高校の部・課題図書に

高校の部・課題図書に選ばれた小林照幸著「車いす犬ラッキー―捨てられた命と生きる」

青少年読書感想文全国コン
「車いす犬ラッキー―捨てられた命と生きる」

 【徳之島】ノンフィクション作家小林照幸氏が、徳之島の愛犬家に焦点を当て昨年刊行した『車いす犬ラッキー―捨てられた命と生きる』(毎日新聞出版)が、2018年度第64回「青少年読書感想文全国コンクール」(全国学校図書館協議会など主催)の高等学校の部・課題図書に選ばれた。

 小林氏は、徳之島の伝説の名牛と飼い主の愛情を描いた著書『闘牛の島』などでもおなじみの大宅壮一賞ノンフィクション作家。『車いす犬ラッキー―』は、徳之島町亀津の自営業、島田須尚さん(68)と捨て犬だったその愛犬ラッキーに焦点を当てたノンフィクションの感動作だ。

 不慮の交通事故でせき髄損傷の重傷を負ったラッキーに、周りは「安楽死」を勧めたが、諦めきれずに、沖縄の動物病院で2度の大手術。だが、後ろ両足マヒの後遺症からは回復できず四六時中の介護も覚悟。犬用の車いすを検索して発注。終生飼養で愛情を注ぎ共に生きることを決意―。島田さんの生き様や島の文化とも重ね、動物の命をいつくしむ愛犬物語。昨今のペットブーム社会下での飼養責任、義務にも一石を投じている。

 小林氏(50)は「奄美諸島が注目されている中で、若い世代に徳之島の自然や文化についても関心を持っていただければ」。島田さんは「私は当然のことをしているだけ。ペットを最期まで飼養する責任も考えて欲しい。(小林氏との)素晴らしい出会いが奇跡を生んだ」。

 同感想文全国コンの課題図書は、本の専門家らが多くの新出版本の中から特に読んで欲しい本を選定。今年度の高校の部・課題図書はほかに、▽『わたしがいどんだ戦い1938年』(キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー作)▽「いのちは贈りもの―ホロコーストを生きのびて」(フランシ―ヌ・クリストフ著)を含め3冊。

 応募要領など詳細は「読書感想文全国コンクール公式サイト」http://www.dokusyokansoubun.jp/