干潟の生態系など学ぶ

子どもたちにマングローブの生きものを解説した常田さん

市小中生 ふるさと体験留学生も参加
「島の子どもたちに自然知ってもらいたい」

 奄美市住用町の市小中学校(神宮司善文校長)は8日、同町山間のマングローブで干潟の生きもの観察を行った。ふるさと体験留学生も参加して、講師から野鳥やカニ類、マングローブで見られる植物の解説を受け干潟の生態系などを学んだ。講師は「自然について奄美の子どもたちに、もっと知ってもらいたい」と継続的な普及啓発を重視する。

 同校では4日から、市街地の子どもたちと同校児童が共に学ぶふるさと体験留学の交流学習を実施。この日はふるさと体験留学の最終日で「夏のふるさと学舎」として、干潟の生きもの観察などを計画していた。

 講師を自然写真家の常田守さんが担当。観察活動に同校児童生徒11人と、ふるさと体験留学生の9人合わせて20人が参加した。

 バスで移動し、現地で参加者は整列して待機。常田さんは「マングローブの干潟は国立公園の特別保護地区に指定。許可なく生きものは捕まえられない。生きものは手に取り、先生たちに写真を撮ってもらうように」などと話した。

 参加者は干潟入り口に集まり、常田さんから有毒のツムギハゼなどに関して説明を受けた。常田さんを先頭に川岸から川に入り、ひざ上まで水につかりながら干潟へ移動した。

 干潟で見られるカニ類として、ツノメガニ、コメツキガニなどを紹介。子どもたちは双眼鏡やフィールドスコープを利用して、オキナワハクセンシオマネキや、ダイサギやクロツラヘラサギなどの野鳥を観察した。

 子どもたちは干潟で実際にシオマネキなどを捕まえて、常田さんや教職員に見せて解説を受けたり、スマートフォンなどで写真を撮影。常田さんはミナミコメツキガニやヒメシオマネキを見つけた子どもたちをほめ、「干潟に砂が多くなったので、最近ミナミコメツキガニはあまり見られなくなっている」と説明した。

 ヒメシオマネキを見つけた小学3年の澤田茅弥くんは、奄美くろうさぎ留学生で兵庫県淡路島から兄弟で同校に4月から留学中。「珍しいカニを見つけてうれしかった。初めてマングローブに来た」と話した。

 参加者は川を渡り、川岸で常田さんがマングローブの植物を紹介。オヒルギやメヒルギの違い、種子の生え方など解説。「マメ科の植物などは、海水で種子が流されることで広がる」と語った。

 干潟の入口に集合し、児童生徒代表で中学2年の田中大開=ひらく=くんがお礼の言葉を発表。「マングローブにいるカニの種類や、オヒルギとメヒルギの違いなど学んだ。自然を守っていきたい」。

 常田さんは観察活動終了後に、「今後も奄美の子どもたちに、自然を知ってもらいたい」とさらなる啓発を訴えた。