城南海さんインタビュー

城南海さんインタビュー

「西郷どん」の劇中歌と大河紀行テーマ曲が納められた、通算12枚目のシングル


愛加那への思いを込めた詞や、故郷への思いなどを語る城南海さん=港区虎ノ門のポニーキャニオン本社で

作詞挑戦、愛加那さんの気持ちで歌唱
大河紀行テーマのシングル制作、全国ツアーも 故郷への恩返し常に思い

 【東京】NHK大河ドラマ「西郷どん」の劇中歌と、大河紀行テーマ「西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~」で、自身の詞を歌声とともに全国各地へ届けている奄美出身の城南海さん。その2曲と「愛加那」の三味線弾き語りバージョンの「愛、奏でて」は、通算12枚目のシングル「西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~」として20日にリリースされた。また、30日から全国ツアー「ウタアシビ2018夏」がスタートする。さらに、会場限定で自身初のミュージッククリップ集が発売されることも決定した。熱いステージを控えた城さんに、曲への思いなどを聞いた。

 城さんは、方言での作詞に挑むため、あらためて故郷を訪れている。西郷吉之助(隆盛)の妻となった「愛加那」を思い、島での3年間を探ったのだ。「いろいろな方に話をうかがい、愛加那さんがどんな方だったのかを、二人が3年間暮らしていた家も訪ね、人生の全てを懸けた強くて美しい彼女の思いに迫ったのです。一方で、西郷さんが残した短歌に、別れの悲しさよりも薩摩に帰って、さあやってやるんだという思いも感じましたね」。

 作詞の依頼があったのは、レコーディングのわずか1週間前、しかも地方の遠征と重なった。「光栄なことですから、やるしかないと決めて、関連本を買って寝る間も惜しんで読みまくりました」。

 その後、唄者や島の人々に取材、一気に書き上げた。「龍郷だけで使われる微妙な言葉遣いには、苦労しました。方言担当の平(久美)さんには、随分助けていただきました」。詞が出来上がるに従って、自身も愛加那に重なっていった。「西郷さんは人前でも愛加那さんを膝の上に乗せたり熱愛だったと聞いて、うらやましかった。恋愛には憧れますが、別れるのは嫌です」。あどけない瞳が、大きく動いた。

 完成した「西郷どん紀行~」は、世界的なピアニスト・山下洋輔さんとの共演だが、本番は何と1回。「打ち合わせもなく、どうぞっと言われてスタート。愛加那さんの気持ちになって、龍郷の海を浮かべて唄いました。後に山下さんと偶然お会いしましたが、一発で決めたのは、ジャズだからね(笑い)と言われました」。

 「ウタアシビ2018夏」は、30日の名古屋ダイヤモンドホールを皮切りに、7月1日に大阪、7、8日は東京、16日は鹿児島、21日は横浜で開催される。「バンドも変わって、デビュー曲もカバーもあります。楽しく届けますので、ぜひ遊びに来てくださいね」。

 先日、奄美出身のアーティスト、唄者、15人による「唄島プロジェクト」も発足した。「すごいメンバーが集まって驚きです。今回、世界自然遺産登録が延期されましたが、私たちのパワーが登録への起爆剤になれればいいですね」。島に育てられた歌姫は、故郷への恩返しを常に思い浮かべている。