自生地で「ウケユリ」開花

西康範さんが開花の様子を撮影した「ウケユリ」

厳しい暑さに清涼感

26日に梅雨明けした奄美地方は、最低気温でも夏日の25度以上、晴天が広がる日中の最高気温になると猛暑日(35度以上)に迫る30度超といっきに気温が上昇している。夏本番を迎えた中、自生地での「ウケユリ」の開花は厳しい暑さに清涼感を与えるようだ。

奄美大島南部で西康範さんが撮影した。純白でラッパ状の大きな花弁が特徴のウケユリは、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島に分布する。芳香が強いユリ科の植物。

山下弘さんの著書『奄美の絶滅危惧植物』によると、山地尾根の岩場や渓流沿いの苔むした崖地に生える多年草。森林伐採や園芸採取などで激減、絶滅の危険性が非常に高い希少種で、環境省レッドリストでは絶滅危惧ⅠA類に分類されている。

和名で関係する瀬戸内町請島では、自生の環境を保つ取り組みが進められている。同島にある大山は、奄美群島国立公園第2種特別地域で、ウケユリなどの希少種が多く生息することから町は入山を規制。町教育委員会へ申請書の提出のほか、指定地域保護管理人みのり会の同行を義務づけている。地元住民も協力してのルールの徹底で希少種の保護が図られている。