世界自然遺産フォーラム

地元関係者や高校生などが登壇し、自然を守るためにできることなど意見を交わした

再提出までどう取り組むかなど講演した星野特任教授

「住民関心持ちよい島に」
基調講演・意見交換 授業に環境教育提案

 環境省那覇自然環境事務所と奄美大島自然保護協議会は1日、奄美市名瀬の奄美サンプラザホテルで「ハゲ!マッタイ!世界自然遺産 くわ、まがにつなぐ島時間を考えりゅんフォーラム」を開いた。登録延期となった「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録だが、関心も高く会場はほぼ満席状態。専門家の基調講演や、地元の高校生や関係者が参加して、意見交換も行われた。パネルディスカッションでは、子どもたちが自然と親しむイベントや、学校の教育カリキュラムに環境教育を取り入れられないかといった意見などが出された。

 開会で、同事務所の東岡礼治所長があいさつ。「IUCN(国際自然保護連合)の勧告で、奄美・沖縄の4島は遺産の価値あるとされた。その価値を国や地元が将来に渡り守り続けていくことが問われている。地域の自然をいかに守り生かしていくか。フォーラムが奄美の自然を守り生かしていく起点になれば」と話した。

 基調講演の講師を、鹿児島大学の星野一昭特任教授が担当。「登録延期勧告をどのように捉えいま何をすべきなのか?」の題で、IUCNの勧告内容や今後どう取り組むべきかなどを解説した。

 星野特任教授は、日本は「生態系」と「生物多様性」で推薦書をユネスコに提出。「IUCNの勧告で、登録に必要な3条件のうち遺産価値と保護管理は適合。遺産区域が分断されていて、区域設定は適合しなかった」と話した。

 勧告をどのように受け止めるかについて、沖縄の北部訓練場返還地編入を助言し確実な遺産登録の道を示していると位置付け。住民がすべきことを、▽島の自然を知る▽島の暮らしや伝統文化を再確認する▽遺産価値の保護に役割を果たす▽島の豊かな未来を考えて、地域づくりを進める―と指摘した。

 休憩をはさみ、星野特任教授と奄美大島観光協会の越間得晴会長、唄者の前山真吾さん、大和村地域おこし協力隊の三田もも子さん、サーモン&ガーリックの新元一文さん、大島高校から中山莉李生徒会長、生物部の富元怜司さんの7人が登壇してパネルディスカッションを実施した。

 自然を守るためにできることについて、「私たちの行動が自然を守ることにつながる」「一人一人の自覚が必要になってきた」「ボランティアに参加し発信する」「小さい頃から自然に親しませると、自然を守る意識が出るのでは」といった意見が出た。

 高校生からは、「学校の授業に環境教育を取り入れてはどうか。住民全体が関心持って、よりよい島になれば」「子どもたちに奄美の自然にふれさせるイベントを行いたい。そのイベントで島の自然環境の状況に気付き、自然に対して敏感になれる」などと大人顔負けの発表もあった。