新設の見張り台完成

新設の見張り台完成

新設された見張り台で完成を祝した祭事を実施


松枯れする前のトウママチャンの見張り台(宇検村提供写真)

伝統漁法の継承と活用へ
宇検村芦検・当間待ち網組合

 宇検村芦検に伝わる伝統漁法「当間待ち網」(トウママチャン)組合(川畑直俊組合長)は15日、同村芦検の漁場に面した道路で新設された見張り台などの完成を祝して神事を行った。関係者からは伝統漁法の再開につながると喜び、観光スポットとしての活用を期待する声も聞かれた。

 トウマは地名で、マチャンは待ち網漁の方言。漁場にL字型に網を設置し、魚が回遊して来るのをじっくり待って行う。

 以前は海岸の横にあった松の大木に見張り台を設置。見張り番が魚が網に入ったのを確認して、下で待機している漁師たちに合図して魚を捕獲していた。

 松の木がマツクイムシなどで枯れてしまい、同組合は伝統のマチャンが途絶えてしまうのではと懸念。県にマチャン継続のため、見張り台の新設などを要望していた。

 県は要望を受けて、魅力ある観光地づくり事業の「にぎわい回廊整備」工事を実施。事業費約4400万円で、2016年度に測量設計、17年12月から工事着工。18年7月11日に完成検査を行っていた。

 同工事で、高さ約5㍍の鉄筋コンクリート製の見張り台(やぐら)、ベンチ、観光案内板(4カ国語表記)、駐車場(普通車3台分)などを整備。この日見張り台の前に集まった関係者は施設の完成を祝い、焼酎や干物など捧げて手を合わせた。

 事業に関わった県大島支庁瀬戸内事務所の印南百合子所長は、「地元から要望いただいたものが完成できた。新しい施設で地域振興に役立ててほしい」とあいさつした。

 同組合の川畑組合長(71)は見張り台の完成を喜び、「新しい施設を整備していただき、とてもありがたい。伝統のマチャンを継続して若い世代に引き継いで、村の観光地になれば」と話した。

 新設された見張り台などは、手続きを経て宇検村に引き渡される予定。同組合は引き渡しを待って、マチャンを再開するという。