知名町ファングル塾「海の観察会」

浅瀬で生き物を採集する子ども達=知名町=

島の生き物に感動生態や特徴学ぶ
かごしま水族館坂口さん講師

 【沖永良部】知名町瀬利覚字ファングル塾による「海の観察会」が26日、同字の海岸で行われた。地元の子ども達12人が参加し、採集した生き物の生態や地元の海の特徴を学んだ。

 観察場所となった海岸は、「平成の名水百選」に指定されている湧水「ジッキョヌホー」の水が流れ込む場所で、独特な生物相を形成している。

 講師は、いおワールドかごしま水族館の坂口建さんが務めた。バケツや網を片手に浅瀬で生き物を探した子ども達は「黒いのが岩に隠れた」「青い魚がいるよ」と声を上げ、逃がさないよう慎重に捕まえた。

 採集した生き物は、ゴカイやオウギガニ、ナマコ、シャコ、クモヒトデ、アマガイ、イボニシなど多数。坂口さんは「(ナマコは)砂を体内に入れ、その中に入っている有機物を食べる。排出された砂はきれいになっている」など、一種類ずつ手に取り生態を説明していった。

 シャコのパンチ力の検証では、水槽に入ったシャコをピンセットで刺激すると「コン」とピンセットを叩く甲高い音が響き、子ども達も「すごい音」と驚きの表情を見せた。このほか、ゴカイの標本つくりにも挑戦した。

 知名小4年の徳佳晃さん(9)は「卵を持っているカニを捕まえた。いろんな生き物と触れ合えた」と話した。

 坂口さんは「沖永良部の海は湧水と海水が混ざり合っているのが特徴で、日本で見つかっていないとされるゴカイが数種類いる。観察会をきっかけに、子どもも大人も地元の海に興味を持ってほしい」と語った。

 ファングル塾では、沖永良部が生息地の北限と考えられている淡水魚「トウギョ」の保護や地元河川の生き物調査などに取り組んでいる。昨年12月、地域の自然文化を守り後世に伝える活動を行う団体を支援する日本ユネスコ連盟の「プロジェクト未来遺産」に登録された。