彝族の暮らしぶりや文化など、写真を見ながら解説する小松さん(上中央)
生まれも育ちも違う写真家4人が、奄美と中国山岳民族の風習や暮らしを切り出した写真展「奄美人と彝=い=人―海の民、山の民」が3日、奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館で始まった。初日のこの日は、展示を記念して、作家本人によるギャラリートークを開催。来場者たちは、本人から語られる民族や文化に対する視点、作品一つ一つに込められた思いなどに聴き入った。
同展は、中国の山岳民族彝族を撮り続けてきた小松健一さん(岡山出身)と烏里烏沙=ウリウサ=さん(中国四川省出身)、奄美の風土や生活文化を撮り続ける久野末勝さん(奄美市名瀬出身)と武部守俊さん(大阪出身)の4人による合同企画。ネイティブとノンネイティブ、内と外からそれぞれが感じとった奄美と彝族の写真約100点が展示されている。
小松さんは「奄美と彝族、海の民と山の民と違いはあるが、アニミズムや神の世界、精神性などはお互い似ている」と述べ「どちらも自然と共に暮らす文化。その共通性や違いを感じてほしい」と話した。
ギャラリートークでは、小松さん、久野さん、武部さんの3人に、ゲスト展示の写真家・村上光明さんと眞月美雨さんも加わり、自身の作品を解説。小松さんは、彝族の歴史や風習を紹介し「彝族も歌や踊りが大好き。豚を食べ、無病息災を祈るところなども奄美に近い」など説明。奄美の原風景や土着文化を写してきた久野さんは「山の深さや自然、奄美の多くに魅せられた。奄美生まれの自分が感じる奄美。そのまま見てほしい」など、それぞれの魅力や見所を説明した。
同展を訪れた名瀬在住の50代女性は「風景や人が目に迫ってくるような印象的な写真。奄美出身だがいつもと異なる感覚で楽しめた」と話した。
なお、同展の期日は27日まで。入館時間は午前9時~午後7時までで無料となっている。