喜界島でサイエンスキャンプ

喜界島でサイエンスキャンプ

シュノーケリングしながらサンゴ礁周辺での観察を楽しんだ(喜界島ハワイビーチ)

サンゴ礁通し様々な分野学ぶ
県内外から研究者の「卵」たち参加

 「サンゴや魚を直接見てみたい」「魚の種類を勉強したい」――。子どもたちを対象にした「サンゴ礁サイエンスキャンプイン喜界島2018」(喜界島サンゴ礁科学研究所主催)が4日から、同島内で始まった。県内外から小学3年生から高校生まで42人が参加。沿岸に広がるサンゴ礁群を通じて生物観察や生態系など様々な分野で調査を行い、海洋環境について理解を深めた。

 同島の海洋やサンゴ礁、地質など自然科学の世界に親しんでもらおうと同研究所が4年前から企画。第一線で活躍する大学機関の研究者が指導役を務めるとあって、年々参加希望が増え、今年は北海道や関東、九州から参加。島外参加者の多くは奄美初来島という。

 キャンプは8日までの4泊5日。6班編成で各テーマ(無脊椎生物、地質、海洋環境、サンゴ、魚類など)にそって、生物観察や海水採取を行う実習のほか、採取生物の解剖、陸上での化石発掘などバラエティーに富んだプログラムに挑戦。最終日は班ごとにまとめた研究発表もある。

 プログラム初日の5日は、ハワイビーチでシュノーケリングによる海洋実習を体験。サンゴ礁調査として、シュノーケル技術や観察方法を学び、採取したナマコや熱帯魚など海洋生物に触れ、潜水して生息する海域や海底地形を観察し、研究所に戻って専門書を見ながら種類を調べた。

 またサンゴの成長を研究するため、10㍍の水深ごとに海水を採取し、それぞれの塩分濃度と温度を読み上げると、子どもたちは持参したノートに真剣な表情でメモ。メジャーを手に海底まで潜って水深計測も体験した。

 同研究所の渡邊剛理事長はプログラムで、実際に基礎データの取り方を学んでいると説明。「島内のサンゴ群生を取り巻く環境は研究の宝庫。子どもたちは毎年、積極性、協調性を持って取り組んでいる」と述べ、「キャンプを通じて、将来、博士や研究者に巣立ってくれたらうれしい」と研究者の卵たちに目を細めた。

 秋田県秋田市から参加した中学1年の林哩央君は「日本海の海より透明感がある喜界の海で、いろんな生物を調べたい」。宮崎県宮崎市の同・吉野祥太君は「親戚に研究者がいるので、研究の方法などを見てみたい」とそれぞれ話した。

 7日は、キャンプの一環で「喜界島サンゴ礁科学シンポジウム」も開く。