生徒たちが古仁屋高校グラウンドを発掘し、陸軍奄美大島要塞司令部跡の痕跡を探した
瀬戸内町教育委員会は5日、古仁屋高校(大山良一校長、全校生徒107人)の生徒7人と同校グラウンドの発掘調査を行った。約3時間の作業を行い、陸軍奄美大島要塞司令部跡に関連する遺物の可能性が高いものを発見。生徒らは地元の歴史に対する関心を高めた。
同町の奄美大島側と加計呂麻島を隔てる大島海峡は、日露戦争直後から日本軍の戦略・戦術上の用地として重要視されてきた。1923年には同町古仁屋に陸軍奄美大島要塞司令部が開庁された。44年に閉鎖となったが、その後は同所に奄美大島重砲兵連隊の本部が置かれるなど、軍事上の重要な拠点となっていた。同校グラウンドは司令部跡の一部に位置する。
同町教委は2014年から町内の遺跡調査を行っている。今年度は西古見の戦跡と陸軍奄美大島要塞司令部跡(同校グラウンド)の調査を行う。同校の発掘に関しては教委が同校に協力を依頼。7月にはインターンシップ期間を利用し、2年生の生徒4人が町内の戦跡などを見学するなど準備を進めてきた。
この日は同町教委埋蔵文化財担当の鼎=かなえ=丈太郎さんと、インターンシップに参加した4人、柔道部の1年生3人、社会科の米倉秀和教諭が作業にあたった。司令部内の建物配置図を見ながら生徒たちが自ら選定した調査箇所を発掘。1×4㍍の範囲をスコップやくわで掘り返し、痕跡の有無を確認した。作業中にはゴム状の黒い塊が発見された。鼎さんは「油脂倉庫に保管されていたものの可能性が高いのでは」と考察した。
インターンシップにも参加した濱田怜弥さん(16)は「歴史はそんなに好きではないが、発掘を体験できる機会はなかなかないので参加した。学校に遺跡があるのは、ほかの学校にはない特徴でうれしく感じる。今後機会があれば、体験者の声を聞くなどしたい」と話した。
鼎さんは「古仁屋高校に司令部が置かれていたということを知ってもらうために行った。これをきっかけに埋蔵文化財に関する道に進んでくれる子が1人でも出れば」と話した。