利用ルール試行延期

認定ガイド同行が推奨された金作原での実証実験(2月16日)

金作原への通行規制や認定ガイド同行
「調整つかず見送り」

 国や県、奄美市などで構成する奄美大島利用適正化連絡会議が、今夏を考えていた奄美市名瀬の金作原の利用ルールの試行が延期されたことが判明した。県自然保護課は「関係者などから聞き取りを進め調整し、通行規制やガイド同行など利用ルールを検討する」としている。

 世界自然遺産の候補地の核心地域の一つとされる「金作原」は、市街地から行きやすい自然観察スポットとして人気になって来ている。金作原の車両入込数は2014年の1555台から、17年は2650台と大幅に増加。

 17年2月に国(環境省、林野庁)や県(自然保護課)、奄美市、民間団体などで、奄美大島の自然環境への負荷を低減させ質の高い自然体験を提供する目的で奄美大島利用適正化連絡会議を立ち上げ。金作原での利用ルール確立に向け、18年2月16~22日にかけて行われた実証実験で金作原を利用する一般車両の通行規制や、認定ガイド同行を呼び掛けていた。

 今年3月の17年度第3回となる同会議で、「金作原のオーバーユース(利用過多)の危険回避と自然保護のため、今夏ごろに利用ルール(一般車両の通行自粛依頼と認定ガイド同行利用の推奨)を試行する」との見込みが示されていた。

 利用ルールの試行延期について、県自然保護課奄美世界自然遺産登録推進室の大西千代子室長は「夏のピークに向け取り組んできたが、調整がつかず今夏の試行はやむなく見送る」と話した。利用の多い時期を逃したことに関し、「金作原は夏以降も、秋から冬にかけても利用のピークがある。その時期に間に合うように、関係者などと調整を図りたい。利用ルールも『奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島世界自然遺産候補地科学委員会』の専門家から意見があり、慎重に検討したい」と語った。

 IUCN(世界自然保護連合)は5月4日に、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録に対し登録延期を勧告。日本政府は6月1日に推薦書を取り下げ、来年2月1日までの再推薦と確実な登録を目指す方針。IUCNの勧告では、観光地での適切な観光管理メカニズムや訪問者管理計画の実施が指摘されている。