「ハートロック」「宮古崎」インスタ映えで人気

人気スポット「ハートロック」に多くのカップルが訪れた(写真は龍郷町赤尾木)

レンタカーでスポット巡り
奄美大島の夏場観光事情

 入込が近年急増している奄美大島では、レンタカーを借りての観光スポット巡りが中心だ。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や画像共有アプリ「インスタグラム」による情報発信が口コミ以上に広がり、幹線道路から外れた“穴場スポット”に訪れる観光客も増えた。特に龍郷町赤尾木の「ハートロック」ではカップル。大河ドラマ「西郷どん」のロケ地・大和村宮古崎では家族連れなどで連日にぎわいを見せている。その一方、レンタカー店に利用客が殺到し、不足する状況も続いている。

 航空運賃の低減措置、格安航空会社(LCC)の複数便就航などを受け、若い世代の来島も増加傾向。スマートフォン(スマホ)での自撮り発信も近年のトレンドで、いわゆる「SNS映え」「インスタ映え」するスポット人気は全国的な流れとなっている。

 奄美大島島内の観光案内所では、ハートロックへの案内が増えたと指摘。赤尾木集落の東海岸沿いにあり、干潮時に現れるハート型の潮溜まり。女子に人気のパワースポットとしてメディアで取り上げられ、訪れるカップルが急増中だ。夏場などの繁忙期は特に多い。

 お盆休暇期間に入った11日、朝から自撮りするカップルの姿が見られた。1時間に10組以上が訪れた。20~30代でほとんどが初来島。

 話を聞くと事前に下調べ済みで、「インターネットで検索するとすぐに出る」「パワースポットと聞いたので」「女子人気が高く、インスタの写真で興味持った」―などの声が聞かれ、県本土から来たという20代女性は彼氏とツーショット。「希望がかなって良かった」と笑顔をみせた。

 国立公園に指定される宮古崎は、大河ドラマのオープニングを飾ったリュキュウササの群生が話題を呼んだ。特に舞台が奄美に移ってからは家族連れを中心に、自然散策する観光客が増えた。「西郷どん」効果が表われから、国直集落は急遽、案内板を立てるほど。

 10日、大阪から帰省したという女性(43)は「放送を見て行こうと決めた。一面の緑と空と海の青さのコントラストがきれい。スマホで映して友達に教えたい」。

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 同市笠利町の奄美空港周辺のレンタカー事業所によると、観光客の多くは事前に島内の周遊プランを立て、行き先の説明は最近少ないという。

 島内ドライブ観光の人気は、奄美空港から国道を南下したルート沿いの施設が中心。あやまる岬観光公園、県奄美パーク、黒潮の森マングローブパーク―に加え、SNS映えする観光地として、土盛海岸(笠利町)、崎原海岸(同)、大浜海浜公園も若者に人気。入込増を背景にSNSによる発信が観光機運を高めるサイクルを生み出している。その結果、「島内全域を範囲に効率よく移動しようとすれば、レンタカー観光の主流化は必然」(島内の観光案内所関係者)とみている。

 その半面、航空運賃の低減化によって滞在期間が延び、その分、「レンタカーの利用が約1日増えた」と事業所関係者は口をそろえる。現在、約600台の稼働はフル回転で、「空きはなく、キャンセル待ちも受け付けられない場合がほとんど」とうれしい悲鳴も。

 スカイマークの奄美大島―鹿児島線の1日2便就航(8月1日)も拍車をかけており、観光、レンタカー事業所は、予約状況の早めの確認を促している。