夜を徹した歌・踊りで活気に包まれた「井之川夏目踊り」=19日午前0時10分ごろ、徳之島町
情熱と躍動感に包まれる
徳之島町井之川集落伝統行事
【徳之島】徳之島町井之川集落(保和廣区長、198世帯・398人)を挙げた伝統行事「浜下=う=り」が18、19日にあった。18日夕、住民たちが親類縁者ごとに海岸に集って先祖へ収穫を感謝し、酒肴を交わしながら互いの絆を確認。午後10時すぎからは名物の「夏目踊り」(県無形民俗文化財)が始まり、夜を徹し情熱的な歌と踊りで家々を訪問した。
ニライカナイ信仰や祖霊祭祀(し)、稲作の豊作感謝などが結びついた複合的な祭りとされる。かつては旧盆後の丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)の3日間行われた。帰省客が多く住民たちも参加しやすい月遅れ盆の直後の土・日に日程を定着させて伝統を守っている。
今年も先祖伝来の浜の一角に「浜ヤドゥリ」(仮小屋)と簡単なかまどを作るなど儀式を行った後、18日夕から親類縁者たちの宴が始まった。海岸から帰宅して一息ついた午後10時ごろ、伝統歌謡「でんだらこ」の唄と太鼓とともに井之川集落の3班(宝島・伊宝・佐渡)それぞれの踊り連で夏目踊りが始まった。
男女掛け合いの「あったら七月」など情熱的で律動的な歌踊りは19日朝まで延々と続いた。汗だくの〝来訪神的〟な踊り連一行には、訪問先の家々から返礼のタオルや飲み物、お菓子などが振る舞われた。今年も町内外から多くの見物客たちも訪れ、躍動感にあふれた夏目踊りを満喫しながらカメラを向けていた。浜下り行事は公民館での「ハマギノ」で締めくくった。