自民奄振委

19年度奄振予算概算要求で質疑した自民党奄美振興特別委員会

「法延長へ予算確保大事」
環境省、登録推進事業費やノネコ対策計上

 【東京】自民党奄美振興特別委員会(尾辻秀久委員長、金子万寿夫事務局長)が31日、党本部であった。2019年度奄美群島振興開発関係概算要求について各省庁から説明を受け、質疑応答。奄美群島振興交付金においては、今年度の24億円を上回る28億7千万円(前年度比20%増)の予算を計上。物資輸送支援を拡充し、航路・航空運賃軽減事業の拡充などが図られる。地元首長からは、観光客は増えているが群島の状況は厳しいとする声も聞かれた。

 あいさつに立った尾辻委員長からは「来年3月末で期限が切れる特別措置法だが、委員会としては、延長とそれにむけての予算の確保が大事。6月に振興開発に関する決議、7月には次期開発についての基本的考え方をとりまとめ、関係省庁に必要な措置を要請してきた。奄美群島をさらに発展させていくためには、関係各省庁において必要な額が確保されることが一番肝心なこと。ここは奄美のための委員会で奄美のために議論するところ。忌憚=きたん=のない意見を」と言葉があった。

 特別顧問として保岡興治氏も委員会に出席した。

 尾辻委員長から、「ガソリンがどれくらい安くなっているか具体的に」との質問があり、措置前は1㍑あたり21・6円あった格差が8・2円まで抑えられてきたとの説明が経済産業省からあった。

 奄美から朝山毅奄美市長、伊集院幼大島郡町村会会長らが出席した。伊集院会長から「奄振法の充実により、環境が変わってきた。観光客も増え法を身近に感じるようになったが、まだ群島の状況は厳しい。これからもよろしくお願いしたい」と、感謝の言葉で結んだ。

 19年度予算概算要求で国土交通省は、交付金を前年度比20%増で計上。来年度の法律改正にむけて充実強化に取り組む意向を示した。物資の輸送費支援の拡充、航路・航空路運賃軽減事業の拡充、観光キャンペーン事業の継続、地方負担の軽減に配慮し、地方財政措置のさらなる充実を図る。

 また、環境省からは2年後の世界自然遺産登録に向けた登録推進事業に、前年度比50%増の1億5千万円が。希少種保護のためのノネコ対策事業として、ノネコの生息状況調査、個体数推定、捕獲などに5千万円が計上された。

 そのほかの省庁の奄振関係概算要求は、総務省が携帯電話等エリア整備事業の補助。厚生労働省は16年度から運用開始した奄美ドクターヘリの導入の効果について17年度は492件の搬送実績。ヘリ内での治療や搬送時間短縮により傷病者の救命率の向上、後遺症の軽減などがあげられた。

 経済産業省は「大島紬」のブランドの再構築、販路開拓、拡大などを目指す。離島のガソリン流通コスト対策として支援措置を講じる。文部科学省は、老朽化が進む公立学校の整備を進める。

 防衛省は、陸上自衛隊配備の空白地域である南西諸島に警備部隊をおき、体制を強化する。奄美駐屯地(仮称)、瀬戸内分屯地(仮称)を新設し部隊を配備する。経費60億円を計上予定。