貴重な資料にふれ実習

文献資料などの写真撮影と資料カード記入を実習する田中さん(左)と山極さん


記入した資料カードをパソコンに入力する河村さん

奄美博物館で大学生3人 特別収蔵庫の資料整理

 奄美市名瀬の市立奄美博物館で先月27日から、博物館学芸員の資格取得を目指す大学生が博物館実習を行っている。大学生たちは展示リニューアルに伴う特別収蔵庫の資料(史料)整理、教育普及業務や他町の文化財展示室の見学など行い、資格取得に向けて技術や知識習得に取り組んでいる。

 同館は、奄美群島の拠点博物館として毎年博物館実習を受け入れ博物館の学芸員養成に協力。2006年度から18年度まで40人の博物館実習生と7人のインターンシップが、同館で実習を行っている。

 6日は同館内で、特別収蔵庫に保管されている資料などの写真撮影、資料カード記入、パソコンの表計算ソフトに入力して目録化する作業に従事。博物館実習で、特別収蔵庫の資料(史料)整理を実施するのは初めてという。

 今年の博物館実習に、筑波大学(茨城県つくば市)人文・文化学群人文学類3年の田中亮汰さん(兵庫県出身)、琉球大学(沖縄県西原町)の4年生、農学部亜熱帯農林環境科学科の河村健吾さん(愛知県出身)と理学部海洋自然科学科の山極=やまぎわ=広孝さん(福岡県出身)の3人が参加。田中さんの祖父母は、沖永良部島出身だという。

 ヤンバルテナガコガネの産卵と微生物の関係などをまとめる河村さんと、沖永良部島で社会関係の形成など調査したいとする田中さんは27日から実習に参加。2日の夜光貝アクセサリー製作講座の運営補助も行い、製作体験と合わせ国史跡の小湊フワガネク遺跡の重要性も学んだ。

 サンゴ礁の生態調査に取り組む山極さんは3日から、実習を開始。3人は同館の館内や業務の説明を受け、市内の歴史民俗資料館(笠利町)、宇宿貝塚史跡公園(同)、県奄美パーク(同)や、市外のりゅうがく館(龍郷町)、図書館・郷土館(瀬戸内町)を見学して、同館との展示方法の違いなど見学した。

 初めての博物館実習について、「普段はショーケースの中にあるような貴重な資料。実際にふれてみて分かる点もあった。貴重な体験をさせていただいた」(河村さん)、「貴重な資料が間近に見られた。(学芸員の)実践的な研修ができている。夜光貝アクセサリー製作講座も、初めて体験した」(田中さん)などの感想が聞かれた。

 山極さんは、「旅行で奄美大島に来た事があった。二つ上の先輩が奄美博物館で実習して、とても良かったと聞いていたので実習先に選んだ」「資料の扱いには気を付けている。湯湾岳にフィールドワークに行き、奄美の固有種を観察して知識を得た」と語った。

 学生たちに同館職員が講義したり、業務の実際などを指導。同館の山下和さんは、「学生たちが博物館実習に目的を持って参加し、研修してもらった。普段少ない職員で業務に当たっているので、学生の実習参加により助かっている面も。学生たちには調査研究だけでなく、地道な作業や資料整理などやっていることも理解してもらいたい」と話した。