島内外から集まった参加者が六つの分科会で島の未来を考えた=1日、知名町フローラル館=
自分の自慢を書き込んだ手作り名刺を準備してシンポジウムに参加者した子ども達=1日、知名町フローラル館=
【沖永良部】第9回沖永良部シンポジウム(同実行委員会、酔庵塾主催)がこのほど、知名町フローラル館であった。基調講演や分科会によるワークショップを行い、島の未来について考えた。
同シンポジウムは「持続可能な島づくり」を目指し、2009年から開催している。この日は、島内外から100人を超える参加者が集まった。
午前の部では、(株)日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏が「沖永良部島は消滅しない」と題して講演した。東京(首都圏)や鹿児島の人口、失業率、生活保護受給者数などを比較した藻谷氏は「お年寄りが激増し、若者が減っているために医療福祉をする人と財源がない。小学校を廃校して経費を削減している。それが日本の現状だ」と指摘。対して沖永良部島は「75歳以上の人が減ってきている。これまで現役で畑仕事をしていたお年寄りの代わりが必要になってきた。若者にとってはチャンスであり、老後のことを考えたら島外に出た子ども達を戻した方がよい」と述べた。
次に、島での豊かな暮らし方を考える「酔庵塾」のメンバーが、これまでの活動を報告。「お金の自足」部会は「寄付で回っていく一般財団を立ち上げ、みんなで出し合ったアイデアをこの基金からお金を出して実現させたい」と話した。
午後は、六つの分科会(食、エネルギー、教育の自足、お金の自足など)でワークショップを行い、話し合った結果を発表した。
島内在住者7人と島外参加者7人で意見を交わした「食」の分科会は「沖永良部は農業の島だが、生産した作物を島外に出す意識が強い。栽培農家同士のネットワークを広げ、品目や量を増やせば、島内ビジネスとして考える余地はある」と提案した。
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シンポジウムには、島内の小学生らも参加。教育こども(文化)分科会のメンバーとして自分の自慢するところを書き込んだ手作り名刺を準備し、大人達との議論に臨んだ。
同分科会で話し合ったテーマは「教育の自足」。島をまるごと学びの場にするために、島の自然・文化・歴史に秀でた人材と島の宝(資源)をマッチングさせた新しい教育プログラムを考えた。
発表会では、魚釣り名人と島の海を掛け合わせた自然水族館、世話好きな子ども達が島のお年寄りの手伝いをするプログラム、自然体験と心理教育を合わせたプログラムなど多彩なアイデアが出た。
シンポジウム終了後、子ども達は議論を交わした大人たちに「これからもよろしくお願いします」と声を掛け、名刺を交換していた。
名刺に「サッカーだいすき」と書いた大城小3年の朝戸尊人くん(9)は「ドリブルが得意。初めての名刺交換だったので緊張した」。
「体育が好き」と記した下平川小4年の竿りりさん(10)は「3人と名刺交換できた。これからもっとたくさんのイベントに参加して出会った人に名刺を渡したい」と笑顔で話した。