経験をもとにした劇「思い出の人生」ではメンバーがさまざまな役に扮して登場し、会場の笑いを誘った
奄美市名瀬長浜町の元気なシニア同級生9人でつくるグループ「昭和9年生」が、地域ではつらつと活動している。今年85歳となるメンバーは、長浜中央自治会が主催する夏祭りで新劇を披露し、地域に元気・活力を与えて喝采を浴びた。老いてますます盛んなメンバーの一人・濱口政廣さんは「まだまだ若い人には負けられない。地域の笑顔につながるなら、また励みたい」と意欲的だ。
同グループは、同自治会に所属する久保フミ子さんが声をかけ2016年に結成。普段の活動は、出身も学校も異なる同級生メンバーが定期的に集まり、唄や世間話で交流を楽しんでいる。
劇のアイデアは、元教員の保唯和さんが「苦労した時代を少しでも若い人に」と思い立ち一念発起。シナリオから脚本、衣装まで一人で準備し、本番の2週間程前からメンバーを集め、練習・リハーサルを積み重ねた。
「思い出の人生」と題した劇は、国民学校への入学や戦時中の生活、米国軍統治下時代や奄美群島日本復帰をシリアスかつコミカルに演じ、唄や踊りも交えて元気に上演。メンバーは、ランドセルを背負い夢膨らませる小学生から身を投げうつ覚悟で組織した女子挺身隊、日本占領に当たったコーンパイプがトレードマークのダグラス・マッカーサー陸軍元帥など多彩な役柄が登場し、会場を大きく沸かせた。
濱口さんは「実際経験したことを芝居にすることで、戦争を知らない子どもたちに少しでも当時を知ってもらいたかった」と述べ、マッカーサー陸軍元帥を演じたことについては「まさか自分が演じるとは夢にも…」と大きく笑った。
今後は「さすがに劇は、メンバーの足腰とも相談」としながらも、11月には近所の公園でスモモの苗の植樹を計画中。濱口さんは「9年生みんなが健康第一で、いつまでも生きがいを持って長生きすることが願い」と述べ、「サクラが咲く時期には、みんなでビール片手に話を弾ませたい」とその思いも語った。
エネルギーあふれる若さの極意について「若い頃はあらゆるスポーツで鍛えた。それが今に生きている」と話し、未だに現役として木材店で働くバイタリティーについては「仕事も何も考えず一生懸命汗を流す。それが一番の秘訣」と笑顔。生き生きと活動的な高齢者はやはり精力があふれている。