名物「サンシキ」で親睦の宴

名物「サンシキ」で親睦の宴

「十五夜浜」名物の「サンシキ」で親睦の宴を繰り広げる住民たち=25日午後7時半ごろ、徳之島町下久志

伝統「十五夜祭り」
徳之島町下久志「十五夜浜」

【徳之島】徳之島町下久志集落(浜睦男区長、84世帯・144人)を挙げた一大伝統行事の「十五夜祭り」が24、25日の連夜、同地の通称「十五夜浜」であった。延長約70㍍にわたり名物のかやぶき小屋「サンシキ」を砂上に仮設。住民たちが一重一瓶で集い、新生児の健やかな成長を祈る「ミイバマクマシ(新浜踏ませ)」、「ハンタ石(力石)挙げ」の力自慢、伝統芸能、綱引きなどを楽しみ親睦を深めた。

下久志の「十五夜祭り」は数百年続くとされ、同集落を代表する最大の伝統行事。十五夜当日の24日は〝前夜祭〟的に住民だけで集い、ミニ運動会などで交流。そして「ナーチャ(翌日)十五夜」とも呼ばれる〝本祭〟の「十六夜(いざよい)」には、集落外の親戚や友人、知人らも広く招待し、お披露目も兼ねて盛大に開くのが習わし。

十六夜の25日も前線の影響で不安定な天候となり、中秋の名月も〝おぼろ月〟に。だが「十五夜浜」は集落民の約1・5倍の約250人が参加。ほのぼのとした裸電球の明かりが揺らめくサンシキの下、お互いの酒こうに舌鼓を打ちながら交流した。

舞台を兼ねた土俵上ではこの1年間の新生児5人を紹介し、健やかな成長を祈る「ミイバマクマシ」の土俵入りも披露。丸みを帯びた「ハンタ石」(約70㌔)に若者4人が挑んだ力自慢は、青年団長の模範演技のみが成功。伝統芸能「あったら七月」「下久志キョーダラ」踊りで絆を確かめ、綱引き大会でもわかせた。

祭り継承の主役を担っているのは青年・壮年層。青年団長の上田健太さん(32)は「ススキの刈り集め運搬、砂浜への支柱立てなど約2週間前から準備。伝統を守るのは大変だが年々参加者も増えており、若い力で継続に協力したい」。浜区長(58)も後輩たちの奮起に「少子化で青年団員数も少ない中、伝統行事継続への協力に感謝したい」と目を細めていた。
新生児たちの健やかな成長を願う「ミイバマクマシ」(土俵入り)も