急ぐ、インバウンド対策

急ぐ、インバウンド対策

外国人観光客対応の準備が進む奄美の観光施設(写真は大島紬村)

 

ホームページ・場内案内の表記
大島紬村、世界的ガイド掲載で

 

 世界中の観光地や観光施設を星の数で格付けして紹介する「ミシュラン・グリーンガイド」。同ガイドのウェブ版(英・仏語)で今月11日、奄美群島と沖縄本島(一部)が初めて掲載された。海岸などの自然観光スポットが多くを占める中、伝統産業の魅力を伝える施設として、龍郷町の大島紬村を「寄り道する価値あり(二つ星)」の評価で選定。越間得晴・代表取締役社長は「ひと目で良さがわかる景勝地と違い、大島紬がどのようなものか理解してもらえる説明やPRが重要。自社サイトの英語版も近々立ち上げたい」と話し、インバウンド(訪日外国人観光客)対応を強化していく意向だ。

 ガイドでは各国の自然や文化遺産、施設が紹介され、▽そのために旅行する価値あり(三つ星)▽寄り道する価値あり(二つ星)▽興味深い(一つ星)▽無印―と格付けして公表。昨年各島を巡ったミシュラン調査員の報告を基に、奄美の35カ所(沖縄本島一部含む)が掲載された。

 最高の三つ星はなかったものの、大島紬村ほか、大浜海浜公園(奄美市)、大金久海岸・百合ケ浜(与論町)、与論島(全体)―が二つ星。奄美群島全体で16カ所が一つ星を獲得した。施設では、ほかに奄美市の「黒潮の森マングローブパーク」(二つ星)、沖縄県東村の「山と水の生活博物館」(無印)。

 大島紬村の紹介ページを見ると、泥染めなどの工程、施設内にある亜熱帯植物の写真を掲載。また1300年の歴史や多くの作業工程による昔ながら織技術、精緻なデザインで仕上げた品質の高さを解説している。同施設関係者はガイド掲載による影響を考慮し、自社ホームページや場内案内の英語表記など作業を急ぐ方針だ。

 21日、奄美大島の名瀬港に入港した台湾からのクルーズ船観光客が、施設観光に訪れた。

 グリーンガイドをチェックしたという台北市のシャ・タンチェンさん(28)は「インターネットで情報収集する観光客は(自分も含めて)多い。英語圏向けの観光対応は今後必要だと思う」。学生という桃園のファン・ジュアンさん(20代)は「授業で英語をある程度マスターしている。中国語より英語表記の方が世界に向けて発信でき、効率的かもしれない」と提案した。

 ガイドの審査基準はあくまで「外国人観光客目線での観光価値」であるため、奄美大島の金作原原生林や沖縄本島(全体)は今回無印。ミシュラン広報は「知名度や旅行しやすさ、旅行者の受入れの質なども含め総合的に判断される。国内旅行とは重視する趣が異なる」という。

 奄美大島観光協会長を務める越間代表は関係機関と連携したインバウンド対策を強調。「週当たり数組だが欧米の観光客の来場があり、増えているのは間違いない。ガイドが評価した奄美の魅力である独特の自然や雰囲気で、『おもてなし』準備を進めたい」と話した。