ダイサギソウが盗掘されたとみられる箇所(提供写真)
掘り返されて花咲く株なし
保護種、周知不足か
奄美大島北部の山中でダイサギソウが盗掘被害に遭ったことが29日までに、住民の情報提供で判明した。同種は9月24日にも奄美大島の最大群生地で盗掘されており、相次ぐ盗掘の被害に情報提供者は残念がっている。
ダイサギソウは奄美群島では、奄美大島と徳之島に分布。山地の日当たりの良い林縁に生える地生ランで、純白の花の形がシラサギに似るので人気を呼んでいる。
開発や採取などで激減して、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類に指定。奄美大島5市町村が定める希少野生動植物の保護に関する条例で、保護すべき種に入っていて捕獲・採取が禁止されている。違反した場合は懲役や罰金が科される。
情報提供者によると、ダイサギソウの開花期で写真を撮るために当該地点を探索。「昨年までは約20株が群生してきれいな花を咲かせていたが、この日は現地で掘り返したような痕跡を7、8カ所ほど確認。花の咲いている株は見当たらなかった」。
相次ぐ盗掘を受け、情報提供者は住民の認識不足や5市町村の条例による保護種ということが知られていないためではないかと指摘。「ダイサギソウのような希少種が奄美大島に自生していることが大変重要にもかかわらず、盗掘されてとても残念。毎年咲いているのを見るのが楽しみだった」と嘆いた。