台風24号 直撃、住家損壊など被害が多発

家屋被害が相次ぎ、島バナナも壊滅状態に=30日午前、伊仙町目手久

笠利で最大瞬間風速50㍍超の猛烈な風
800世帯以上避難、8人が重軽傷

 大型で非常に強い台風24号は30日、奄美地方を暴風域に巻き込みながら北上し通過した。笠利では最大瞬間風速50㍍を超す猛烈な風が吹き、住家の損壊や倒木などの災害、少なくとも8人が重軽傷を負うなど被害が多発した。奄美群島内で800世帯以上が避難し、最大で約8万世帯(30日午前6時現在)が停電。海や空の便などの交通機関では欠航・運休に伴い観光客が足止めを食らうなど、住民生活は終日混乱した。

 台風24号の直撃により、多数の民家の屋根が吹き飛んだりするなど、各地で住家に甚大な被害。停電で信号機が作動しなくなり、倒木などで道路が遮断されるなど交通網もマヒし、サトウキビや島バナナが倒伏するなど農作物にも大きく被害は及んだ。

 県の発表によると同日午後3時現在、奄美群島内の人的被害は計8件。重傷が奄美市1件、天城町1件の計2件。軽傷が奄美市4件、龍郷町1件、与論町1件の計6件が報告された。

 住家被害は、和泊町で1件、与論町で2件の計3件が半壊。4町で計37件が一部破損した。

 道路通行規制については、9件の通行規制が行われ、同日同時現在7件がすでに規制を解除。和泊町玉城の県道621号線で全面通行止め、大和村国直・名瀬瀬戸内線が片側通行となっている。

 避難者数は、▽奄美市134世帯212人▽大和村65世帯95人▽宇検村99世帯173人▽瀬戸内町74世帯116人▽龍郷町64世帯86人▽喜界町37世帯63人▽徳之島町32世帯60人▽天城町27世帯46人▽伊仙町21世帯27人▽和泊町33世帯50人▽知名町68世帯127人▽与論町185世帯362人―の計839世帯1416人が避難。同日午後7時現在、大和村と和泊町を除く10市町村で避難勧告が解除された。

 県によると、数値は速報であり、具体的な被害状況は現在も調査中。各市町村で確認が続いているという。

 気象庁によると非常に強い台風24号は30日午後5時現在、室戸岬の南約60㌔にあり、奄美地方は暴風域・強風域を抜け、大雨・暴風警報などは解除。県大島支庁は同日午後5時15分に災害警戒本部を廃止した。

 気象庁によると、笠利町で最大風速40・0㍍、最大瞬間風速52・5㍍の猛烈な風が吹き、いずれも観測史上最大を記録。最大瞬間風速は、喜界島で44・8㍍、天城と沖永良部で41・2㍍などを観測した。

 同庁では、波浪警報を引き続き発令しており、今後もうねりを伴った高波への警戒、強風などへの注意を呼び掛けている。