停電・断水の長期化で住民生活・業務が困窮。消防車で給水出動の天城町消防団員ら=1日午前、歯科診療所で
暴風で玄関ガラス戸も大破。停電・断水で臨時休校した樟南二高=1日午前、天城町
【徳之島】台風24号の直撃で、徳之島地区では住宅など建造物や農林水産業分野の被害が深刻化。ライフライン関連でも29日以降、一部復旧地域を除き1日夕現在も停電が続く。停電によって上水道・浄水場の取水ポンプが作動できず、天城町では主要集落約890戸で断水が継続。伊仙町では町内全戸(約3487戸)への時間給水を余儀なくされている。3町ともに学校給食センターも稼働できず、授業にも影響が及んだ。
天城町によると同日夕現在の断水集落・地区、戸数は▽与名間集落約140戸▽浅間同の一部約150戸▽天城同の北部約200戸▽平土野集落約400戸の計約890戸。水源地や浄水場への土砂流入が原因の与名間を除き、同一水源・浄水場エリアの同3集落は「停電に伴う取水ポンプ停止」が原因という。
町は緊急対策として同日午前、要請のあった医療機関を優先して消防ポンプ車(約2千㍑)による給水を始めた。この後、対象集落を巡回して生活用水に困窮する住民らに給水車利用を呼び掛けた。要請した天城歯科診療所長の稲田茂穂歯科医師(64)は「水が出ないと口腔の洗浄や歯を削ることもできない。スタッフに水が出る所(集落)から運んでもらっていたが、助かります」と話した。
同町にある私立樟南第二高校(生徒数302人)は、台風最接近の29日夜―30日未明にかけて校舎本館正面玄関のガラス戸(タテ約3㍍、ヨコ約5㍍)が大破するなど被災。停電と断水でトイレも使用できない状況を勘案し、臨時休校した。町立小・中学校は給食センターが稼働できないため午前中の授業で各校の判断に委ねた。
伊仙町は町内全域の浄水場に自家発電機を持ち込み30日から1日3、4時間ずつの時間給水を実施。弁当持参で水をくみ置き通常の授業とした面縄小、中と、運動会の喜念小の3校以外は各校に委ねた。徳之島町は自家発電対応で断水地区はないが、それまでの停電による給食センターの稼働停止で各校に委ねた。
断線などによる停電は広範囲に及び、九電側は点検と並行して復旧作業に全力を挙げているが、全域復旧のめどは立ってないという。