「生きものの命尊重したい」

「生きものの命尊重したい」

動物病院で治療を受けるカワセミ

龍郷小児童 けがしたカワセミ保護
動物病院に運び込まれ治療

 龍郷町の龍郷小学校(橋口俊崇校長)の児童が見つけて保護した、けがを負ったカワセミが1日、奄美市名瀬の動物病院に運び込まれた。治療が開始されているが、預かった獣医は、「小型の野鳥でけがは重傷。治療は時間を要し困難を伴う」としている。

 同校は貴重な植物や野鳥など観察できる長雲峠の麓にあり、アサギマダラのマーキング活動で昨年8月には野生生物保護功労者表彰の環境大臣賞を受賞していた。

 カワセミを保護したのは同小6年の最上美里さん。30日の午前中に台風24号が通過して風が収まり、家の周りを見回ったところ庭で羽根をけがしたカワセミを発見。保護して龍郷集落在住の県自然保護推進員の宇都宮英之さんに連絡し庭まで来てもらい、けがしたカワセミを預かってもらったという。

 宇都宮さんが傷病治療のため動物病院と連絡を取り、ゆいの島どうぶつ病院が受け入れ先に決定。この日夕方、関係者の手で保護されたカワセミを同院に搬送し治療が始められた。

 けがした部位は左羽根で、出血し血が固まった状態。野生傷病鳥獣救護獣医師でもある同院の伊藤圭子院長が、麻酔を施してレントゲン撮影をしたところ、複雑骨折の重傷と判明した。

 伊藤院長は、カワセミのような小型の野鳥は人が周りにいる環境自体がストレスを与えると指摘。「今年誕生した若いひな鳥だろう。複雑骨折とけがも重傷で、治療には時間がかかり難しい治療になるかもしれない」と説明した。

 カワセミを発見して保護した最上さんは、学校の環境委員を担当しているという。「カワセミを見つけて、生きものの命を尊重して保護しなければならないと思い宇都宮さんに連絡した。けがが治り飛べるようになってもらいたい」と話した。