奄美島アザミ講習会

奄美島アザミ講習会

アマミシマアザミについて講話する上山氏

農作物の新たな産業へ期待

 徳之島町母間に本社を置く㈱ヘルシーアイランズ(藤山尚二郎代表取締役)は13日、地域の新たな農作物としてアマミシマアザミを活用し産業創出を目指す「奄美島アザミ講習会」を奄美市名瀬の同市農業研究センターで開いた。この日は、新たな作物の可能性を求めて生産者などが多数参加。講習会のなかで藤山代表は「新たな奄美ブランド・産業に成長できるオンリーワンの商品」と述べ、アマミシマアザミの生産拡大に向けて期待を寄せた。

 アマミシマアザミは、奄美大島以南に分布するキク科の多年草。琉球大学熱帯生物圏研究センターなどが成分を分析し、高濃度のポリフェノールの含有や脂肪化の抑制効果など科学的データが示されている。

 同社は、2012年から同大学と共同研究を開始し、試作品などを通じてその有用性を実証。現在徳之島町では、町の協力を得て開発加工センターを立ち上げ、サプリメントなど商品販売なども始めている。

 また、奄美群島内では沖永良部や龍郷町、大和村などでもその地域性を見込んで試験栽培など進行中。12日には、新たな事業活動に取り組む中小企業を支援する「地域産業資源活用事業」として国から認定されるなど、産業としてのアマミシマアザミに対する期待は各地で高まっている。

 この日の講習会では、瀬戸内徳洲会病院院長で同会長・上山泰男氏が、「向春草」(アマミシマアザミのブランド名)の生産性や効能について講話。乾燥地で塩分を含んだ土壌でも生産が可能なことや健康食品としての生産単価の高さなど、効率の高い作物であることを説明。科学的データとしては、▽ポリフェノールが多量▽脂肪酸合成抑える▽がん細胞の増殖抑える―など、試験を基に根拠が示された。

 講習後は、瀬戸内町伊子茂で今年4月から向春草の生産を始めた農家・松林家福さんが生産や管理方法など説明。参加者からは質問が相次ぎ、社からは今後の事業展開や販路確保などについても説明が述べられた。

 藤山代表は「安全で健康に役立つ機能性の高い作物。奄美の大切な種の保存という意味でもこの産業を育てていきたい」と話した。