景観計画策定に着手

景観計画策定に向け、策定委員会が発足した奄美市

奄美市 将来像は「バランスの取れた景観」

 未来への財産となる景観を継承できるまちづくりに向け、奄美市は奄美群島の自治体に先駆けて、景観計画策定に着手した。15日は同計画策定委員会を立ち上げ、市役所で第1回会合を開催。良好な景観の形成に向け、策定までのスケジュールや基本理念など基本方針のあり方を確認。2018年度中の策定を目指す。

 04年国の「景観法」成立を受け、同市は11年10月、同法に基づいた景観計画を策定できる「景観行政団体」に移行。今回は奄美群島国立公園の指定に絡み、環境文化型の概念を取り入れた策定計画を協議する。会合は全3回を予定。

 会に先立ち、朝山毅市長が、学識経験者、地域、観光などの分野を代表する委員14人に委嘱状を交付。委員長には木方十根=きかたじゅんね=・鹿児島大学大学院教授が就任した。

 策定計画では同市の景観形成に向けた全体構想や基本方針を示すほか、市内全域に計画区域を定め、建物の建築基準など景観に関わる行為は届出を義務付ける。基本理念は、▽本物の奄美を追求▽自然と文化を継承▽みんなで実践する―をテーマにした景観づくりに着手。景観・地域・市民・行政が一体となった「メリハリとバランスのとれた景観」を将来像に掲げている。また住民意見を盛り込むため、来年2月にパブリックコメント募集も計画している。

 策定規制は概ね緩やかとなる見通しだが、罰則規定が盛り込める条例を19年度中にも制定する予定。事務局の市企画調整課は、市教委が同年度策定を目指す「文化的景観保存計画」との整合性も視野に調整を進めることも明かした。

 なお委員からは景観の核となる地域や施設、シンボルの設定を求めたのに対し、事務局は景観形成のあり方や運用を重視。具体策の検討にあたり、地域特色を踏まえながら進める考えを強調した。

 朝山市長は「世界自然遺産登録の基礎につなげ、景観資源の有効活用に取り組みたい」と述べた。