瀬戸内町清水集落 厳島神社「ティーヤ」

「ヒヨヒヨ」という掛け声をかけながら社殿内にソテツ葉を投げ入れた(15日午前5時ごろ)

「ヒヨヒヨ」の掛け声でソテツ葉供え
五穀豊穣・無病息災祈る

 瀬戸内町清水集落の厳島神社で14、15日、同集落に古くから伝わる「ティーヤ」があった。15日未明には集落住民らが神社に集まり、「ヒヨヒヨ」と掛け声を合わせ、ソテツ葉をちぎって社殿に供える姿が見られた。

 ティーヤは旧暦の9月6日から7日にかけて同神社で行われる行事で、由来など詳細は不明。かつては神社内で青年団員らが夜通し歌あしびなどを繰り広げ盛り上がったことから徹夜・通夜などの意でティーヤと呼ばれるようになったという。旧9月7日早朝にはソテツ葉1千枚を神に奉納し、五穀豊穣と集落住民の無病息災を祈る。

 今回は14日朝から集落住民ら約50人が神社に集まり準備を開始。男性は神社周辺の清掃活動をし、女性は団子を用意し、ミキとともに神に供えた。同日夕方には料理などを持ち寄り神社に参集し、15日午前0時ごろまで宴を開いた。

 同日午前4時半ごろからは、ぽつりぽつりと住民らが神社に戻って来た。数人が集まったところで、ソテツ葉の房を持ち、「ヒヨヒヨ」と掛け声をかけながら社殿の周囲を左回りに走り始めた。社殿にはちぎり、投げ入れられたソテツ葉が積み上がる様子が見られた。ヒヨヒヨは「火よ火よ」の意という説もあり、火災予防の側面もうかがわれる。

 社殿内では女性たちがソテツ葉を10枚一束にし、1千枚まで数え上げ供えた。夜が明け始める頃には、ミキと団子をもらうために集落住民が神社を訪れ、歓談するなど楽しんだ。

 同集落在住で長く行事に参加してきたという朝野明美さん(66)は「子どもの頃から参加してきた。今は婦人会が中心となって伝統を引き継いでいる。地域の皆さんに来てもらって本当にありがたい」。この日初めて行事に参加した隆初代さん(63)は「清水の人たちは協力し合い、集落のことを思いまとまっている。珍しいお祭りで、色々と教わることもできた」と笑顔だった。