奄美空港 送迎車両の駐車スペース確保

奄美空港 送迎車両の駐車スペース確保

観光やレンタカー事業者が利用できる送迎車両用スペースが、新たに設置された奄美空港駐車場

観光、レンタカー団体が申し入れ
関係者「スムーズな利用を促したい」

 奄美市笠利町の奄美空港ターミナルビルのリニューアルに伴い、観光客の案内体制を見直そうと関係業界が動き出した。到着便に合わせ、これまでターミナルビル出口付近で駐車していたレンタカー事業所や宿泊施設の送迎車両は、駐車場内に新たに設けられた「公共駐車場」で待機し、利用者には看板などで誘導を行うルールがスタートした。

 運用ルールの実施は13日から。空港周辺のレンタカー事業所、奄美大島島内の宿泊施設や観光事業者などが対象。送迎車両の集中による事故発生を懸念し、駐車スペースはターミナルビルから約100㍍の位置に配置され、指定場所には「指定許可車専用スペース」の表示版が取り付けられている。

 また空港内には「レンタカーなどの乗車場所はこちら」と書かれた案内版を設置し、観光案内所での対応一元化(レンタカー、宿泊所など予約確認、移動先の誘導)などスムーズな案内と受け入れを推進していく方針だ。

 (一社)あまみ大島観光物産連盟(有村修一会長)と(一社)奄美自動車連合会・奄美地区レンタカー協会(畠山善勝会長)は今年に入り、同空港を管理する県大島支庁に対し、空港駐車場内に観光関連、レンタカー事業者など向けの送迎者用スペースの確保を申し入れ。1階到着ロビーでの出迎えスタッフの待機、駐車場内での送迎車両の集中による混雑など、受け入れ時の課題を解消したい意向を伝えたという。

 それを受け、県や観光団体など関係機関は6月、奄美空港内一般駐車場の運用について会議を開き、公共利用を目的とした送迎駐車場10台分の確保に同意。円滑な利用に向け運用要綱をまとめて、準備を進めていた。
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 奄美群島航空運賃低減事業や格安航空会社(LCC)就航などを背景に奄美大島への入込客数は増加。空港の17年度乗降客実績は77・3万人を達成し、特に観光客のレンタカー利用は急増している。

 奄美自動車連合会によると今年3月末現在、同島(加計呂麻島含む)内のレンタカー事業者は17会員、登録車両750台(前年同時期は19会員、591台)でレンタカー登録車数は増加傾向。必然的にレンタカー利用客や宿泊客への案内誘導業務も増し、到着ロビーで待機するスタッフが多く見られた。

 新ルールを施行する背景はリニューアルされた“空の玄関口”のイメージアップ。開港以来、初めて受け入れ態勢を見直した。

 空港到着後、すぐに案内・誘導していた業務行為は利用者にとって「便利で助かる」との声がある一方で、到着口付近での案内行為が混雑を招いているとの指摘から、ルールで施設内での案内など業務行為を禁じている。

 事業所の現場サイドからは「1台分当たりの駐車スペースが狭く、送迎客の乗り降りや荷物の搬入時に不便」「案内距離が長くなり、風雨時や車いす利用者が困るのでは」などの意見も。

 同観光連盟の境田清一郎事務局長は「空港施設の将来的な安全利用に向け、関係機関と連携して取り組む第一歩と考えている」と訴える。同地区レンタカー協会の畠山会長は「(行政機関に)趣旨を理解していただき、ありがたい」と述べ、その上で「関係者の意見を受けながらルールの徹底、運用対処につとめたい」と話し、必要な運用改善があれば、今後検討していく考えを示した。

 同支庁建設課は、すでにレンタカー停車場を設けている鹿児島空港(霧島市)の状況を踏まえ、「施設や乗客数など規模は県内で2番目の空港として、施設利用の適正に向けたルールづくりは意義がある」と取り組みを評価した。

 今後、関係機関による意見交換会を開き、運用開始後の問題点を検証していく予定。