台風24号の被害状況を現地視察した高鳥農林水産副大臣(中央)=21日、伊仙町伊仙の高潮被害地区
【徳之島】高鳥修一農林水産副大臣が21日、先月末に奄美群島を襲って大きな爪跡を残した台風24号の被害視察で徳之島を訪問。倒伏・折損・塩害を受けた基幹作物サトウキビのほ場や高潮被害の農地、製糖工場の現状など3町を現地視察。高鳥副大臣は「被害は甚大。サトウキビ増産基金は15日に発動した。今後も予算確保をしっかりとしたい。災害復旧は、査定前着工制度もあり検討して欲しい」と述べた。
現地視察は、三反園訓知事の金子万寿夫衆院議員(鹿児島2区)らを伴なった吉川貴盛農水大臣への台風災害復旧対策の直接要請(16日)がきっかけ。現地視察には、金子氏をはじめ農水本省と九州農政局から13人、県からは中村かおり副知事や農政部職員ら10人が随行した。
地元徳之島3町長や当局の案内で台風24号の暴風雨や潮風害で甚大な被害を受けた各町のサトウキビほ場を視察。海抜約12㍍付近まで高潮が押し寄せ農地の表土が洗掘されて岩石が覆い生産基盤が損なわれた伊仙町中部地区の海岸部の被害ほ場では、説明を受けながら約40分間にわたって現状を把握した。
同町内の高潮被害農地は約12㌶(約1億円)を予想。大久保明町長は「この畑が復旧して農業が安心して出来るように」。町担当者も「台風災害が多岐にわたるが、農業で生計を立てている小さなまちの災害復旧にお力添えを」と直訴。キビ約33㌶を手掛ける大竹勝人さん(55)=同町阿三=は「十数年前の高潮被害以上の被害。今年は豊作と思っていた中での被害で、農家はやる気を失っている」と窮状を訴えた。
高鳥副大臣は会見で「サトウキビの倒伏・塩害、高潮による被害は甚大。国としてはサトウキビ増産基金を15日に発動した。今後の予算確保もしっかりとやらせていただきたい。災害復旧は査定前着工制度もあるので活用して欲しい」とも述べた。
特に印象に残った高潮被害地区の農家については「キビほ場が根こそぎやられて石がゴロゴロ入り込み、復旧もままならない状況。生産者の皆さんは去年も台風災害を受け非常にがっかりしている。ぜひ希望持っていただきたい。農水省としても対策をしっかり取りたい」と気遣った。