東さん(奄美市笠利町)アンプティサッカーW杯へ

東さん(奄美市笠利町)アンプティサッカーW杯へ

自身初となるアンプティサッカーワールドカップの舞台に挑む東さん

念願の舞台に挑戦
27日メキシコで開幕 日本4度目出場「4強以上目標」

 今月27日、もう一つのサッカーW杯「アンプティサッカーワールドカップメキシコ大会2018」が開幕する。アンプティサッカーは、上肢・下肢の切断障がいを持った人らがプレーする競技。日本代表は今回が4度目の出場。チーム一員として、東幸弘さん(36)=奄美市笠利町手花部=が念願の舞台に挑む。

 東さんは、生まれつき左肘から先がなかった。幼い頃からサッカー競技に親しみ、高校時代は県本土の強豪校、鹿児島実業で技術を磨いた。

 アンプティサッカーに出会ったのは2015年。導かれるように、九州を本拠地に活動するアンプティサッカークラブのFC九州バイラオールに加入し、ゴールキーパーとして、本格的に取り組んできた。

 競技の普及という部分で国内での歴史は浅く、日本代表は初めて、W杯の2010年(第8回)大会に初出場し、今回が4度目。自身初となる夢のワールドカップの舞台に向け、東さんに抱負などを聞いた。

―アンプティサッカーの魅力を教えてほしい。
 「サッカー競技とは違うと感じる部分もあるが、よりアクロバティックなプレーができる場面もある。見ている方も楽しいと思う。普通のサッカーとさほど変わらないと感じる」

―7月の代表合宿に参加。チームの雰囲気など含め、どのような合宿だった?
 「チームは今大会ベスト4以上を目指している。2回目は台風で行けず1回の参加。少ない練習のなかでは、自身のプレーも見つめなおせた。チームの雰囲気も上を目指そうという良い雰囲気だった」

―これまでの活動も通じ、認知度など含めアンプティサッカーの状況をどのように感じている?
 「最初に比べ、メディアでの取り扱いなど含め認知度は上がったと思う。小中学生を対象にした体験会なども開いたおかげなどもある。競技人口も増えてきた」

―昨年のヨーロッパ遠征(ポーランド)では全試合に出場したが、日本の位置などどのように感じたか?
 「特に技術的な部分にレベルの差を感じた。ただ日本国内のここ最近の大会に目を移すと、レベルは上がっている。自分もできなかったこともトレーニングを重ねてできるように。個人としてもレベルアップできたと思う」

―個人的にどのような部分のレベルアップを図った?
 「セービングをメインに練習してきた。それまで足で処理することが多かったが、腕や上半身で反応するようになった。キーパーらしいプレーがよりできるようになった。(11人制)サッカーもプレーしてきた。そのおかげでフィジカル部分も維持できている」

―日本は、コスタリカ、コロンビア、ポーランドとグループCに入っている。予選の展望は?
「南米2チームの情報はあまりなく分からない。技術的な部分に加え組織力も高いポーランドが一番の山になると思う。2位以上がトーナメントに進出できる。そこがまず目標だ」

―大会に向けた抱負を。
「周りの友人やサッカー仲間から応援してもらい、地域(笠利町手花部集落)でも壮行会も開いてもらった。今回のワールドカップ出場で、家族を含め、色々な人たちの愛をものすごく感じた。この気持ちを大切にしたい。多くの人の想いも背負い精一杯頑張りたい」
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 大会は27日、メキシコのサンフアンデロスラゴス市で開幕し、出場24か国で争われる。日本代表は28日にグループリーグ初戦に挑む。チームは24日に離日。率いる杉野正幸監督は、「今回の出場に向け、クラウドファンディングで支援を求め、220人から賛同を得ることができた(10月18日現在)。大きな責任を感じている。そういった方々にも良い報告ができるようがんばりたい。ベスト4以上を目指し、並々ならぬ決意のもと、24日に現地に向け日本をたちたい」と意欲。東さんについても、「東選手は、GKでありセービングに重きを置いたプレーはもちろんだが、彼の両足から出される正確なキックが攻撃の起点となる。攻撃のバリエーションが増え、より攻撃的な戦いにつながることを期待している」と話した。