奄美群島漁業振興大会

奄美群島漁業振興大会

中村修氏らが取り組み事例を発表。講演などがあった奄美群島漁業振興大会

 

ブルー・ツーリズムで地域興し
笠利、与論の取組紹介
国直でのNPO活動発表

 

 第26回奄美群島漁業振興大会(奄美群島水産振興協議会主催)が24日、奄美市名瀬の奄美観光ホテルで開かれ、奄美漁協大和支所の中村修氏が国直集落を拠点に推進している「ブルー・ツーリズムを活用した地域興し」と題して体験型観光の取り組み事例を発表した。研修では、奄美漁協笠利本所の石川伸二氏が笠利地区での魚の鮮度保持の取り組み、与論町漁協の箕作広光氏が魚の高品質保持の取り組み事例を報告。鹿児島大学水産学部の木村郁夫教授による講演や意見交換会などがあった。

 群島内外から漁協組合員、行政関係者ら約70人が出席した。

 事例発表した中村氏は、2015(平成27)年3月にNPO法人「TAMASU」を地域住民20人で設立、中村氏が理事長を務める。活動の中で①漁協関係者から、ロープひきトビウオ浮敷網漁業(トビウオロープひき漁業)をブルー・ツーリズムとして売り出していこうという提案があった②経験者がいなかったことから、発祥の地であり、この漁法をブルー・ツーリズムとして既に取り組んでいる与論町漁協へ研修に行った③その後、与論町の漁業者が国直を訪れ、操業技術指導などさまざまな協力を得た④地元住民を対象としたモニターツアーを2回実施⑤一般客、親子会メンバー受け入れ―につながっていった経過を説明した。

 その他の体験型観光として、アオサ摘み体験(加工、試食も体験)、泳ぎ釣り体験、クルージング体験など40種類以上の体験受け入れを実施してきた。

 成果として「魚食普及への貢献」「雇用拡大と所得向上」「国直集落の観光地としてのブランド確立」を挙げ、その内容説明をした。

 笠利本所の石川氏は、船上での活け締めによる魚の鮮度保持について「血を抜くことで生臭みが消える」「身質や色合いをより長く保持することができる」効果など説明。与論町漁協の箕作氏は、鹿児島大学水産学部との共同研究結果として①魚の高品質状態を保つためには、漁獲から冷凍までの時間を短くする。活け締めを行い、ATP(アデノシン三リン酸)が消費されないようにする②ATP濃度含有量が多いほど歯ごたえが良い(高品質)―などと述べた。