瀬戸内町のクルーズ船寄港地誘致について、懸念事項などを話し合った
瀬戸内町が設置した「クルーズ船寄港地に関する検討協議会」(委員長・宮廻甫允=みやさことしみつ=鹿児島大学名誉教授)の第1回が28日、同町役場会議室であった。事務局を務める同町企画課から現状などの説明があった後、委員らによる質疑応答があり、賛否や懸念事項など多様な意見が出た。開催回数などは未定だが、同町のクルーズ船寄港地のあり方について提言書にまとめることを目的としている。
同町の大型クルーズ船寄港地誘致は昨年8月、国土交通省が発表した「島嶼=しょ=部における大型クルーズ船寄港地開発に関する調査結果」の内容を受け、町が検討してきたもの。今年4月から6月にかけて町内各地で実施した町政懇談会では趣旨などの説明もあった。
協議会では町内各種団体代表8人、町議会議員代表4人、大学教授3人と、加計呂麻島観光関係者有志、奄美の自然を守る会、西古見集落から各1人ずつの計19人が委員に委嘱された。開会にあたり、鎌田愛人町長は「町民と一緒になってクルーズ船寄港地のあり方について考え、委員の意見を集約した提言をいただきたい」とあいさつした。
協議では、町企画課による町政懇談会で挙がった住民意見の報告、国土交通省港湾局クルーズ振興室の塩田昌弘室長による調査結果の説明があった。これらに対し、委員からは「身の丈に合ったクルーズ船で良いのではないか」、「誘致を前提に早急に進めるべき」など賛否両論が飛び出した。
また、▽地元にお金が落ちない事例がある▽渋滞やバス不足▽バラスト(船内の安定を保つために船底に積む土砂や砂利)水汚染による漁業者への影響▽西古見に古仁屋の商圏が奪われないか―などの数多くの懸念事項が挙げられた。これらについて、副委員長を務めた鹿児島大学水産学部教授の西隆一郎委員は、「具体的なプランが出ない限り答えることのできない意見が多い。寄港地の効果、課題の分析ができないので、次回以降具体的な話を持ってきてもらいたい」と事務局側に求めた。
同町企画課の眞地浩明課長は「町としてふさわしいか、ふさわしくないかを検証し、町民に知らせる責務がある。年内にあと1回はできれば」と語った。
協議会は公開(会場での傍聴は不可)されている。会の様子はYouTubeの同町公式チャンネルなどで視聴することができる。