海上保安部と消防、DMATが合同で行った座礁船からの救出救助訓練
奄美市で28日、津波を想定した防災訓練が行われた。警察や消防、海上保安部など関係機関は車両や船舶を運用した救助活動を実施。航空自衛隊機も今回初参加し、名瀬港内で実機合同訓練が大規模に展開された。また避難訓練では市民約2千人が参加。高所避難や炊き出しなどで防災・減災意識の向上に努めた。
同市は2010年の奄美豪雨、11年の東日本大震災を教訓に、関係機関と連携した防災訓練を例年開催。午前9時、奄美大島近海を震源とする地震が発生。1時間以内に市内全域に津波が到着するとの想定で訓練はスタートした。
行政、消防、警察などの実働機関はメーン会場の名瀬港観光船バースに災害対策本部を設置し、各機関の担当者が活動を指示。沖縄県の航自南西航空方面隊所属の救難捜索機(U125A、救難ヘリコプター(UH―60J)が上空を飛行し、沿岸部の状況確認や吊り上げ救助。また奄美海上保安部所属の巡視艇「かいもん」や奄美ドクターヘリなどが出動した訓練プログラムを詰め掛けた市民100人以上が見守った。
防災無線で避難指示を発令した情報伝達訓練では、大津波警報の発令を受け、各地区住民は要介護者や高齢者に声掛けしながら高台へ避難。その後避難所を開設し、炊き出し訓練などを行った。
久里町自治会(南武一会長、約400世帯600人)は避難後、奄美小学校に隣接する「配田が丘きょら館」で講話と炊き出しを実施。訓練参加者を前に南会長は日頃から避難経路や避難場所までの移動時間を確認することを呼び掛けた。
子どもと初参加した女性(46)は「各地で地震や豪雨災害があり、防災や避難行動の重要性を認識。引っ越してきたばかりで、家族と共に避難態勢の確認や地域との顔合わせをしたかった」と話した
朝山毅市長は訓練後、「航空機による状況把握など各機関が連携して早期対処が行えていた」と総括。災害発生後の初動活動を踏まえ、引き続き「情報伝達」「市民の避難・誘導」に取り組むとした。