安堵と喜びの声

登録が実現すればコアゾーンとなる奄美市名瀬の金作原(資料写真)

世界自然遺産再推薦 登録に向けた懸念、課題も
「アクセル全開で対応を」

 政府は2日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」を世界自然遺産登録の推薦候補とすることを決定した。発表を受け、行政関係者や各業界からは安堵と喜びの声や、明るい意見が多く聞かれた。一方で、今後の対策や、懸念を述べる関係者もおり、登録までの期間に対応すべき課題も垣間見える。

 三反園訓鹿児島県知事は「登録に向け一歩前進したと考える。県はIUCN(国際自然保護連合)の指摘事項を踏まえ、推薦に向けた取り組みを進めてきた。引き続き環境省、沖縄県、地元市町村や関係団体と連携を図り、確実かつ早期の登録に向け全力で取り組む」。玉城デニー沖縄知事は「大変喜ばしいこと。IUCNから示された課題にしっかりと対応し、2020年の確実な登録を目指す」とした。

 奄美群島広域事務組合管理者の朝山毅奄美市長は「登録に向けた大きな一歩を踏み出すことができた。大きな期待を寄せている」。大島郡町村会長の伊集院幼大和村長は「胸をなでおろすとともに関係した皆さまに感謝申し上げる。かけがえのない、世界的な価値を有する自然の保全活用はもとより、登録実現に向けて引き続き精一杯努力していく」とコメントを発表した。

 関係団体からは喜びだけでなく、課題への対応を重要視する声も聞こえた。NPO法人徳之島虹の会の美延睦美事務局長は、「再推薦されることが決まってほっとした。延期勧告以降、住民の意識も高まってきている。多くの施策が始まったばかりなので、今後はアクセル全開で対応していかなければいけない」と語った。

 奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長は「腰を据えて対応を整えるならもう少し先でも良かった気もする」とした上で、「もう後がないということをしっかりと理解し、延期勧告で出された“宿題”を確実にこなさなければならない。住民全体が責任を持って、10年、20年先を見据えて考えるべき」と強調した。

 経済界、観光業会からは観光客などの受け入れ態勢構築などの必要性に言及する意見も。奄美大島商工会議所の谷芳成会頭は「推薦されるかどうか心配な部分もあったので本当に良かった。何をしなければいけないかもう一度考え、慎重に受け入れ態勢を作っていく必要がある」。奄美大島観光協会の越間得晴会長は「延期勧告以降、迅速に対応してくれた関係機関に感謝したい。国内外から注目されることを期待するとともに、奄美ならではの受け入れ態勢を拡充していきたい」と述べた。