処分方法の緩和などが総務省の行政評価局を通して環境省に伝えられた「オオキンケイギク」(奄美大島での駆除作業の様子=資料写真)
総務省九州管区行政評価局は、特定外来生物「オオキンケイギク」の処分方法などについて行政相談を受けた。制約があることから、住民には手間がかかり対応が難しいとして、同局は環境省九州地方環境事務所に処分方法を緩和するよう伝えた。
同局が22日、「処分方法の周知強化等をあっせん」として公表した。オオキンケイギクは、繁殖力が強く生態系を壊すなど在来種に大きな影響を与えるとして2006年2月、特定外来生物に指定(緊急対策が必要な外来種に区分)。栽培、運搬等は禁止(違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金)されている。
行政相談は、「道路沿いに咲いていた花が私有地に広がっている。特定外来生物に指定されているオオキンケイギクと思われる。行政は除草しないのか。処分の方法に制約があるようだが、自分で刈り取ってもよいのか」という内容。環境省の定めでは、住民による処分=根から引き抜いて2~3日天日にさらして枯死。各地方公共団体の処分方法に従いごみ出し。住民団体は①ごみの焼却施設等への運搬②落下や種子の飛散等の逸出防止措置をとっている③事前に公表された活動―を満たせば生きたままの運搬は可能▽地方公共団体による防除活動=防除実施計画を作成し、担当大臣から計画の確認を受けた後、特定外来生物の防除を行うことができる―としている。
この処分方法、防除活動が周知されているか、同局は調査。その結果、住民のオオキンケイギクの認知度は低く、市町村でも特段の配慮なく他の雑草と同様に除草しているとみられることがわかった。市町村の意見・要望としては、「抜く・2~3日天日にさらして枯死・ごみ出しという処分方法は住民には手間。緩和してほしい」「通知が求める『住民団体が防除を実施する際の事前公表』は困難。事前公表の具体的方法を示してほしい」が寄せられた。
同局では、九州各地でも同様の状況にあることが想定されるとして、幅広い観点から意見を聴取しての対応が必要と考え、民間の有識者を構成員とする行政苦情救済推進会議に諮った。その結果を踏まえ、同局は、環境省九州地方環境事務所に対し、「住民および地方公共団体に処分方法の周知強化」「住民が防除活動しやすいように処分方法を緩和してほしい」とする市町村からの意見・要望を、環境省(本省)に上申すること―などを内容とするあっせんを行った。
奄美ではオオキンケイギクが開花する5月、毎年、各地で駆除作業が行われている。子どもたちの環境教育の一環として学校などと連携しながら龍郷町での駆除活動を推進している県自然保護推進員の宇都宮英之さんは「(今回のあっせんで)処分方法が緩和された場合、手間は省けるとしても駆除後に再び発芽することがないよう、3~5年間など毎年繰り返し経年観察することが必要。また、継続して駆除し続ける組織づくりも求められるのではないか」と指摘する。
宇都宮さんは、行政評価局の取り組みにより九州管内で関心が高まることを期待。「本土に行くと、高速道路ののり面などにオオキンケイギクが繁茂しているのを見掛ける。奄美では駆除活動が広がっているが、本土の方が特定外来生物という認識が低いと感じる。周知の強化は欠かせない」と注文した。