開花している「モクビャッコウ」(西康範さん撮影)
銀白色に黄色鮮やか
南の島奄美にも霜が降ったの!?そんなふうに見えてしまう銀白色。晩秋から早春にかけて咲く黄色の花も鮮やか。奄美大島北部の海岸地帯で、岩礁に「モクビャッコウ」が開花しているのを西康範さんが撮影した。「葉茎の銀白色は植物では珍しい」と西さんは話す。
中国、フィリピン、台湾、日本に分布するキク科モクビャッコウ属の常緑性低木。日本ではトカラ列島以南から琉球列島にかけて分布しており、海岸沿いの岩場、隆起したサンゴ礁の上などで観察できる。
この植物も自生の環境が脅かされている。西さんが指摘しているように、「シルバーリーフ」(銀色がかった緑色の葉)は珍しく美しいため、観賞用として栽培を目的とした盗掘により、自生種は激減しているという。
葉はヘラ状、先端が深く2~4裂することもあり、枝の上部に集まって互生する。葉には独特の香りがある。花期になると、上部の枝の葉に付け根から短い花柄を出し、小さな黄色い頭状花を咲かせる。キク科の植物によく見られる花弁のような舌状花はない。
美しい「シルバーリーフ」と、愛らしい花々。自生していることに喜びを伝えているようだ。