笠利町平集落で〝ドゥンガ〟

集落住民が多く集まり、八月踊りを踊った奄美市笠利町平集落のドゥンガ行事

「独特の八月踊り残したい」
無病息災や豊作祈る

 奄美市笠利町の平集落(大山秀忠区長)の、〝ドゥンガ〟(ドンガ)行事があった28日夜、同集落集会施設であった。集落住民ら約40人が参加。杯を交わし、同集落特有の八月踊りで無病息災や来年の豊作を祈った。

 ドゥンガはアラセツ、シバサシに続いて“ミハチガツ(三八月)”の最後に位置付けられている日。シバサシの後の甲子=きのえね=の日に行われる。集落の墓地で死者を改葬し、夜には八月踊りを行う。

 同集落の大山義弘さん(88)によると、同集落ではお盆を行う人が少なかったため、かつてはドゥンガに合わせて、若者などが帰省。「健康な人が踊らないと、死者が踊る」という言い伝えもあり、三晩を踊り明かしたという。15年ほど前までは改葬も行っていたが、今では火葬が一般的になったため、改葬の習慣はなくなった。

 お盆が同集落内で一般的に行われるようになった今でも、ドゥンガの日の早朝には、住民が墓参しイタジイの葉を墓地に供える。ドゥンガとその前日には住民らが集まり、八月踊りを踊る行事が残る。

 大山さんは「平集落の踊りは太鼓も曲もほかの集落とは違う。平の人々で踊って、伝統として残していきたい」と語る。住民の高齢化などにより、後継者不足に悩まされるが、定期的に練習も行い、「80歳以上の人の踊りを見て、若い人にも覚えてもらいたい」と思いを込めた。

 この日は、小雨が降っていたため、施設内で八月踊りを実施。女性らがたたく太鼓にあわせ踊り、男性は大きな掛け声やハト(指笛)で盛り上げた。黒糖焼酎を飲み交わしながら約2時間踊り、六調で締めくくった。終了後は三々五々帰路に就いた。

 参加した村田大輔さん(31)は生まれも育ちも同集落。「八月踊りが好きで、今年1年を通して多くの唄を教わった。最近では少しずつ意味が分かって来たので、今後は節を覚えていきたい。行事が残るのは大切。今後も守っていく必要がある」と村田さんは語った。