奄振法延長、拡充を

原田環境相に要望した伊集院会長ら=29日、霞が関の環境省で

関係省庁に要望 世界自然遺産登録も
市町村長会議会議長会

 【東京】奄美群島市町村長会(会長・伊集院幼大和村長)と奄美群島市町村議会議長会(会長・前田芳作天城町議会議長)は29日、霞が関の関係省庁などで政府の2019年度予算編成を前に、奄美群島振興開発の推進に関する要望を行った。要望活動は自民党奄美振興特別委員会(会長・尾辻秀久参院議員)を皮切りに、小里泰弘農林水産副大臣、田中英之国土交通大臣政務官、原田義昭環境相などに実施された。

 19年度に向けた中央要望のポイントは、①奄美群島振興開発特別措置法の延長・拡充②奄美群島振興交付金予算の確保③世界自然遺産登録及びその先を見据えた取り組みに関する支援―など。

 要望書で①については、今年度末に法期限を迎える奄振法の延長・拡充を要望。また奄美群島成長戦略推進ビジョンに基づき「農業」「観光/交流」「情報」の重点3分野を産業振興の基軸とし、『文化』『定住』の2分野を連携させた産業振興・人材育成施策を群島一体として展開するためには奄振法による特別措置が不可欠と位置付ける。

 ②は、19年度概算要求として(対前年度当初予算比約1・20倍)28億円を要望。特に物資の輸送費支援の拡充▽航路・航空路運賃軽減事業の拡充▽交流需要喚起対策特別事業及び奄美・沖縄連携交流促進事業の継続▽地方負担の軽減を求めるもの。

 ③についてはIUCNによる勧告事項を踏まえ、より一層の体制強化と希少野生生物保護対策やノネコ・マングース等の外来生物対策などが盛り込まれている。

 国会議員への要望では、尾辻議員、金子万寿夫衆院議員らと意見交換。来年度から5年間の法延長や奄美群島成長戦略ビジョン策定に対して、金子議員は「大事な時期。地域の人や住民が参加して大きな柱となる新メニューを」と語った。

 地方負担の軽減について金子議員は「奄振は補助事業であって交付金ではない。国庫補助率10分の5の事業に、市町村財政が残りの10分の4を負担することから特別交付税措置の拡充を求めてはどうか」とした。また、世界自然遺産登録についても「登録後ではなく、『登録を目指します』と念には念を」と注文をつけた。

 一行はこの後、関係省庁に要望活動を行い、小里農水副大臣を訪問。ミカンコミバエなどの病害虫防除などについて要望し、台風24号での災害対策補充について謝辞を述べた。

 原田環境相は世界自然遺産登録に向けて「相当頑張らないといけない。マングースなどの対策を」と地元への注文を付けた。

 要望行動後、朝山毅奄美群島広域事務組合管理者は「かごしま国体、オリンピック、世界自然遺産登録と全てが良い環境。12市町村一体となって連携していく」と語り、伊集院会長は「奄振について、国交省で法延長は必要との前提で考えてもらっている。これまで、どう生かされたかを考え、今後は枠にとらわれない新たな取り組みや新メニューが求められている」と課題を語った。