黒糖焼酎テイスティング会

参加者らが各銘柄を飲み比べテイスティングノート作成の手法を学んだ

海外展開に表現方法学ぶ
ソムリエも加わり 五感活用して分かりやすく

 奄美黒糖焼酎の海外販路開拓に向けた2018年度地域団体商標海外展開支援事業(奄美黒糖焼酎)のテイスティング会が29日、奄美市名瀬の集宴会場で1日目があった。地元の10蔵元から2銘柄ずつを持ち寄り、参加者はソムリエなどと試飲。味わいや香りなど五感を活用して、海外での販路開拓に欠かせないテイスティングノートを作成した。30日は、テイスティング会の第二部とレビュー会を予定している。

 同事業はジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構)の3カ年事業で、ジェトロ鹿児島貿易情報センターによると県内では枕崎の鰹節に次いで2件目。同事業のブランドプロデューサーの西道広美さんが、新輸出大国コンソーシアムのエキスパートの渡邉大さんとテイスティングノート作成のためのテイスティング会を計画した。

 国内外で活躍するソムリエや米国焼酎アドバイザーなど5人の専門家と、蔵元から合わせて約20人が参加。同センターの川上香里奈係長が参加蔵元などを紹介した。

 参加者は五つのグループに分かれ、各グループに1人ソムリエなどが入り、テイスティングの基礎から具体的な表現方法を参考にしてテイスティングを体験した。この日は持ち寄られた20銘柄の半分が、グラスに注がれテイスティングに提供された。

 渡邉さんがテイスティング会の趣旨と手法を説明。テイスティングノートでは、▽Color(色味を表現)▽Nose(香りの組成を表現)▽Pallet(口に含んだ瞬間に感じる味)▽Pallet2(飲み込む時に膨らむ味)▽Finish(余韻=よいん=の長さや揺れなど)―の各項目を五感を活用して分かりやすい言葉で表現する。

 参加者はグラスを照明越しにかざして色を観察し、グラスを揺らして黒糖焼酎の甘い芳香を嗅覚で判断した。また口に含んで味わいや、飲み込んで喉ごしの感覚を自身の言葉で用紙に記入した。

 グループでは試飲した黒糖焼酎の感想を話し合い、テイスティングノートを作成。各グループの二つの銘柄をまとめ、レビュー会で参加者は他のグループの黒糖焼酎も試飲して、用紙に記入して各テーブルに提出した。

 西道さんは「ブランドの認知度上げるために、英語で分かりやすく伝えるテイスティングノートが必要。今回は奄美黒糖焼酎の海外展開への小さな一歩かもしれないが、大きなものがある」と説明。県酒造組合奄美支部の牧正二郎事務局長は「海外ではバイヤーなどから深く追求する質問を受ける場合がある。蔵元ももっと勉強して、テイスティングノートを作り、自社ブランド向上に生かしてもらいたい」と話した。

 海外に製品輸出している蔵元からの男性参加者は、「競争しながら協働していくという言葉の通りと実感した。テイスティング体験で、具体的にお客さまに伝わる専門家の特化した表現方法を参考にできた。面白い試みで参加して良かった」と振り返った。