喜界町中里 「ソーメンガブー」

喜界町中里 「ソーメンガブー」

投げ入られたソーメンを奪い合う、「ソーメンガブー」があった

住民が束を取り合う

 子どもからお年寄りまで、集まった住民がソーメンを取り合う「ソーメンガブー」が28日夜、喜界町の中里集落(野間昭夫区長)であった。会場の旧公民館広場では、投げ入れられたソーメンの束を奪い合う様子に周囲から笑い声があふれていた。

 喜界島で100年以上続く、同集落の安全祈願や五穀豊穣を願う伝統行事。手に入れたソーメンにはご利益があるとされ、先に取ったソーメンを奪うことも許されるという。「取られないようすぐに懐に入れる」「家の中から鍋やザルごと持っていっても良い(翌日に洗って返すこと)」などのルールを含め日本の奇祭の一つとされている。

 祭りではソーメン(乾麺)の束を約1千個用意。公民館の屋上や、やぐらから束が投げ入れられるたびに、我先にと奪い合いが起こり、無事ゲットできた参加者は六調を披露。油断できない真剣勝負に、大きな盛り上がりを見せたソーメン投げは約20分で終了した。

 野間区長によると、祭りの由来は貧しい暮らしの中、みんなで食料を分け合ったことが発端。参加者の一人は「今年最後の島での祭り。集まった住民は心行くまで楽しめたのでは」と話した。