キビ交付金1万6630円

製糖工場に搬入されるサトウキビ(資料写真)

増産基金も継続 19年産5年ぶり引上げ
農水省

 農林水産省は6日、2019年度(19~20年期)サトウキビ・でん粉原料用カンショにかかわる生産者交付金の単価を政府与党に説明して了解を得た。キビ農家に支払われる1㌧当たりの単価は、前年より210円増の1万6630円。5年ぶりの引き上げになる。

 「砂糖およびでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、安価な輸入品から徴収した調整金を主な財源に、国産品の生産者・製造業者に対し、生産・製造コストと販売額の差額相当の交付金を交付する価格調整制度を実施。同法に基づき、19年産の生産者に対する交付金単価を決めたもの。生産費から販売価格を差し引いた額として算定している。

 単価引き上げは、6日にあった自民党の野菜・果樹・畑作物等対策委員会で決まり了承された。甘味資源作物の生産振興対策として、台風や干ばつ、病害虫対策などの緊急事態に対応するためのセーフティネットとして「さとうきび増産基金」を引き続き措置することも盛り込んだ。

 交付金の単価は、糖度が13・1度以上14・3度以下のサトウキビに適用される。糖度が5・5度以上13・1度未満の場合は、糖度が13・1度を0・1度下回るごとに100円を、この単価から差し引いた額とする。糖度が14・3度を0・1度上回るごとに100円を、この単価に加算した額となる。

 サトウキビの生産者交付金は、今月30日に米国抜きで発効される環太平洋連携協定(TPP11)で砂糖価格の下落が想定されることが要因。TPP発効後に収穫される今期産にも、交付金の増額が適用される。なお19年度産については来年の消費増税までに、増税の影響に配慮した対応を予定。

 18年の奄美群島は、9月末から10月初めにかけて相次いだ台風24、25号の影響で、前年比で減収予想。農水省は5日の自民党の農林関係会合で、10㌃あたりの収量見込みは、奄美大島17・5%減、徳之島10・9%減になるとの予想を示している。

 キビ生産者交付金が5年ぶりの引き上げになったことについて、金子万寿夫衆院議員(鹿児島2区選出)は高い評価を下した。「自然災害などによる減収、TPP発効による価格下落など不安視されていたが、長く要望していた引き上げが実現になり良かった。生産者意欲も高まるのでないか」と語った。

 交付金引き上げを実現できたのは、「災害発生後に現地を視察し、生産者の声などを聞いて与党に強く要請し、産地の議員がしっかり対応したため」と金子議員は説明した。また生産者に対し「単収増に向け肥培管理、自然災害などあらゆるものに備える共済制度の加入促進を図り自己防衛に努めることなどが必要でないか」と話した。

 奄美群島糖業振興会会長の大久幸助天城町長は、「奄美だけでなく他の県内産地や、沖縄県も含めて(交付金引き上げ)要望していたが難しいものがあった。交付金増額は本当にありがたい。昨年に続く台風被害で農家は心配だったところに、朗報で喜ばしいことだ」と語った。