“空白期間”懸念、要望も視野に

“空白期間”懸念、要望も視野に

来年10月以降、奄美大島―成田、関西間に就航する予定のピーチ社の機体(資料写真)

バニラ運航終了 奄美便は大阪5月、成田8月
「路線廃止考えていない」

 ANAホールディングス(HD)傘下の格安航空会社(LCC)「ピーチ・アビエーション」と、「バニラ・エア」は17日、2019年度中に予定している経営統合に向け、バニラ社便の運航を同年10月26日までに終了し、路線網をピーチ社に段階的に引き継ぐことを発表した。奄美大島に関しては、関西便が5月6日に、成田便が8月31日にバニラ社としての運航を終了。ピーチ社としての就航は成田便が10月1日から、関西便が冬季ダイヤ(10月27日~20年3月28日)期間中と予定されている。関西便では約6カ月間の“空白期間”が発生することとなり、観光業などへの影響が懸念される。

 ピーチ社は12年に日本初のLCC航空会社として設立し、同年3月から運航を開始。現在は関西空港を拠点に国内線16路線、国際線15路線を展開する。

 同社広報グループによると、奄美大島発着路線に使用する機体は、統合後もバニラ社が使用している機体と同じA320(180席)。75~80%以上の搭乗率を目指すという。

 関西便に関して、夏季繁忙期を含んだ休止や、ピーチ社の発表した便運航開始日が不透明なことへの懸念が各所から上がる。奄美大島商工会議所の谷芳成会頭は、再開時期が確定していないことを不安視し、「世界自然遺産登録を見据えたとき、外国人観光客対応のためにも関空は必要」と早期の運航再開を願う。同商工会議所は今後、「行政がどういった対応をするか様子を見る」としている。

 奄美大島観光協会の越間得晴会長は「統合のための休止なので仕方ない。関西便はゴールデンウィーク、成田便は夏の観光シーズンを外し、世界自然遺産登録前の準備期間としては良い時期と思った」と肯定的。一方で、「バニラ独自の顧客が根付いてきたところ。休止期間中、会員の状況を確認しながら必要があれば要望も行う」とした。

 関西奄美会の中野壽郎幹事長=伊仙町鹿浦出身=は「バニラを利用して交流を図っていた。やっと定着し、利用客も増えてきたところなのに運航が本当に再開されるのかが不安。役員会で議題に上げ、関西奄美会としての要望書を正式に準備したい」と述べた。

 こうした住民の声に対し、鹿児島2区選出の金子万寿夫衆院議員は、「先週ごろからANAHD、バニラ社、ピーチ社に対し、運航再開の前倒しなど、地元の意見を届けてきた。まだ休止までに期間があるので、県や奄美群島広域事務組合などから意見を吸い上げ、要望を続けたい」と話した。

 同グループは、関西便の空白期間について、「機体の塗装やクルーの訓練などの準備期間」と説明。また、「関西便が廃止になるのでは」という地元住民の懸念に関しては、「今のところ、路線の廃止は考えていない。スムーズな再開を目指す」としている。