新設完了が近い奄美大島島内の陸自配備基地(写真は奄美市大熊地区造成地=提供写真、12月25日撮影=)
防衛省は、閣議決定した2019年度予算案の概要を公表した。宇宙やサイバーの分野など新たな領域への対応が盛り込まれ、総額は前年度当初比で1・3%増の5兆2574億円で過去最大。7年連続の増額計上となった。このうち奄美関連は、奄美大島内2地区(奄美市大熊地区、瀬戸内町節子地区)の陸上自衛隊警備部隊配備で約61億円が見込まれている。同省は「島内での部隊開隊は予定通り今年度内(来年3月下旬)」と説明。駐屯地新設まで残り3カ月、隊員配置や主要施設の整備など大詰めの調整に入る。
概要によると、海空領域を含む、多次元を統合した防衛力構築などを推進。南西諸島の防衛強化では奄美大島や宮古島の訓練施設整備、石垣島の施設設計など警備部隊配置に179億円を計上した。
来春開隊する奄美大島島内の配備計画予算は、大熊地区の奄美駐屯地(仮称)に約42億円を計上し、室内での小火器射撃訓練(250~300㍍)用に覆道射場などを整備。普通科部隊を中心とした警備部隊230人、中距離地対空誘導ミサイル(中SAM)運用部隊60人など合わせて約350人が常駐する。
節子地区の瀬戸内分屯地(仮称)は、運用装備を保管する弾薬庫整備に約18億円を計上。同警備部隊130人、地対艦誘導ミサイル(SSM)運用部隊60人など合わせて約210人が常駐する。
また航空警戒監視に必要な基盤整備として九州と奄美群島を含む沖縄間を結ぶ、航空警戒管制多重通信網(固定OH)の複ルート化を進める。予算案で奄美駐屯地内での管制レーダー展開地整備費として約6・7億円を計上。奄美大島の湯湾岳周辺(大和村名音)での整備を計画している。
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建設工事は17年度後半から本格化しており、宿舎など基地外の関連施設建設も同時進行中。陸上自衛隊統合幕僚監部広報は奄美新聞の取材に対し、「常駐隊員の構成については運用技術の有無、地元出身、希望者などで調整を図っている」と明かした。
建設計画では、大熊地区関連は同市名瀬佐大熊町(24戸)、同大熊町(47戸)。節子地区関連は同町阿木名に5階建ての2棟(計65棟)の本体工事がほぼ終了した。
行政関係者によると奄美市は未就学児92人、小学校59人、中学校10人で計161人。瀬戸内町は小学生10人、未就学児12人で計22人の受け入れを見込んでおり、今後の増減などを見据え、学校や地元と協議を進めているという。全体の移住者数は分かっていないが、地元の関係者からは「任期中は30~40代の世帯が暮らすことになる。地域として受け入れ準備を整えたい」と開隊を待ちわびる声も出ている。
なお開隊記念セレモニーは奄美駐屯地で行われる見通し。陸自同広報は「開隊日に近い日取りで、出席者の調整を進めているが日程は流動的」とした。