肉用牛研修で「子牛育成マニュアル」や有機ミネラル給与の重要性も再確認=16日、天城町
優良肉用牛農家視察でも交流研さんした=16日、天城町
【徳之島】2018年度大島地区肉用牛生産振興研修会(県肉用牛振興協議会大島支部など主催)が16日、天城町防災センターであった。同地区の肉用牛生産農家ら関係者約180人が参加。講演で、肉用牛の骨格の発育を重視した「子牛育成マニュアル」の実践と、有機ミネラル栄養素供給(飼料添加)の重要性を再確認。同町内の優良肉用牛視察でも研さん交流した。
肉用牛経営における飼養管理技術の向上、自給飼料確保など推進による同地区の肉用牛振興が目的。田中浩人・県肉用牛振興協大島支部長(大島支庁農政普及課長)は、高齢化やTPP発効など諸懸案を抱えつつも、全国和牛能力共進会における本県の総合優勝(17年度)、「挙県態勢」で臨む22年度の同本県開催など材料も強調。「肉用牛生産は地域経済に重要な産業。安定的継続優れた飼養管理や技術の確立が求められている」と呼びかけた。
研修では、▽県農業開発総合センター畜産試験場(大家畜部肉用牛研究室)の坂下邦仁研究専門員が「骨格の発育を重視した『子牛育成マニュアル』の実践」▽㈱A&M Production Medical Clinicの荒井宏幸代表取締役が「有機ミネラルの必要性と活用事例」を演題にそれぞれ講演した。
坂下研究専門員は、濃厚飼料と乾草の栄養価、同配合による枝肉量への影響など実証結果も提示。子牛育成飼料給与マニュアルで5カ月齢までの子牛の発育が改善されることで、6カ月齢以降の子牛の粗飼料摂取量が増加。その結果①内臓脂肪の蓄積の少ない肥育用素(もと)牛が供給される②枝肉における脂肪蓄積量が少なくなり、枝肉の歩留まり等級が向上することも提示した。
荒井氏は、肉用牛におけるミネラル栄養素の供給(飼料添加)は「乳用牛やその他の畜種(豚・鶏)に比べて遅れているのが現状」とあらためて指摘。その上で「飼料設計上、ミネラル栄養素を満たした農場においても、追加給与することで疾病罹患率の改善やさらなる成績向上が認められる」とも示した。
現地研修では17年度「かごしま畜産の日」農場環境衛生コンクールで最優秀賞に輝いた同町松原の農業城哲弘さん(59)=指導農業士、繁殖雌牛57頭飼養=と、同町瀬滝の農業林栄作さん(45)=認定農家、町肉用牛振興会長、同68頭飼養=の両経営現状を視察した。