フワガネク遺跡保存活用計画策定委

国史跡小湊フワガネク遺跡の保存活用計画の策定に向け現地確認と意見交換が行われた

地元に支えられる計画に
史跡の現状や現地確認

 奄美市教育委員会は7日、同市名瀬小湊の奄美看護福祉専門学校図書室で第1回史跡小湊フワガネク遺跡保存活用計画策定委員会を開いた。学識関係者や地元、市役所関係部署の委員が参加し、史跡の概要や現状を確認し保存活用の具体的計画づくりに意見を交わした。史跡内の休耕地が増えていることや、景観の保護、遊歩道整備などの話が出された。委員会は新年度にかけて住民の参加意識を高め、地元に支えられる計画作成をめざす。

 同遺跡は2010年に国史跡に指定。遺跡の恒久的な保存・管理や活用・整備を図る目的で、専門委員4人、地元委員3人、庁内委員3人による委員会を組織して策定に取り組んでいる。

 専門委員から琉球大学の池田榮史教授を委員長に選出。事務局から事業計画の説明があり、委員などは実際に学校から出て発掘調査や範囲確認調査が行われた場所を視察した。

 会場に戻り事務局が、遺跡の基本情報を配布資料から解説。「遺跡は太平洋沿岸、弓状の砂丘上標高9㍍に立地し、6~8世紀に属する貝製品の生産が行われた集落遺跡で、奄美の歴史を明らかにできる重要な遺跡である」と報告された。

 遺跡指定範囲を追加することについて、事務局は文化庁の指導があったことなどを回答。大野城心のふるさと館(福岡県)の赤司善彦館長は、「世界遺産の考え方に倣い、遺跡のみならず緩衝地を含めて面的に広げて、保存活用するべき」と提言した。

 池田委員長は「文化景観の面から、ソテツを境界として植栽した景観も残すべきでないか」と指摘。事務局からは遺跡とソテツ畑が、小湊集落の「一集落1ブランド」として登録されている現状が紹介された。

 保存と活用などの現状について委員から、「次回に詳しい数字を報告する」や、「現状に対する課題を整理する」など計画づくりへアドバイス。地元委員の小湊町内会・東郷武会長は「砂丘や景観の保護以外に、子どもたちが分かるような資料作成も必要でないか」と話した。

 計画作成スケジュールについて、事務局は住民の意見を聞く場を設ける考えを明示。庁内委員の市建設部・本山末男部長は「委員会の下に庁内で勉強会を設置し、アイデアを出して計画に反映させてはどうか」と語った。

 第2回会議は、今年7月に開催予定。保存活用計画大綱や基本方針などの素案を検討する。