世界自然遺産候補地の中核地域である住用川上流
県は8日、2019年度当初予算案を発表した。IUCN(国際自然保護連合)から登録延期を勧告され、推薦書を修正し再推薦された奄美の世界自然遺産登録に向け、推薦地の自然環境の保全と利用の両立や機運醸成などの取り組みを行う。
世界自然遺産登録に向け、▽IUCNによる現地調査への対応▽自然環境に配慮した公共事業の推進▽機運醸成に世界自然遺産シンポジウムの開催▽世界自然遺産奄美トレイルのルート選定(奄美市笠利、瀬戸内町、龍郷町)・標識設置▽龍郷町の「奄美自然観察の森」を、気軽に奄美の自然を楽しめる森林体験施設としてリニューアル▽利用の適正化▽世界自然遺産登録地「屋久島」と、登録目指す「奄美・沖縄」を結ぶ航路支援事業の実施▽関係団体との検討会・部会の開催▽推薦地内の県有地管理―が主な取り組みとなる。
事業費として、IUCNによる現地調査への対応や自然環境の保全と利用の両立に必要な取り組みに新規事業の世界自然遺産「奄美」保全・活用事業費1億1097万7千円(奄美世界自然遺産登録推進室)。奄美自然観察の森整備事業費9360万円(同)、来年夏の奄美の世界自然遺産登録に向け、科学委員会、地域連絡会議への参画や県有地の管理などに取り組む新規事業として世界自然遺産管理運営推進事業費(同)235万6千円を計上している。
県自然保護課の奄美世界自然遺産登録推進室・大西千代子室長は「IUCNの現地調査は、推薦地4島にどういうルートで入るかなど詳細は現段階で不明。前回とは違う専門家が調査に当たるだろう。確実な登録実現に向け、万全を期したい」と説明。「利用適正化は奄美大島が金作原(今月27日、利用ルール試行開始)で、徳之島は林道山クビリ線(今夏ごろ、利用ルール運用開始)で行われる」と語った。