自然保護活動中に「人命救助」

天城町から「人命救助」表彰を受けた沢登自然保護官(中央)と麓補佐官=22日、同町

環境省自然保護官ら2人を表彰
天城町

 【徳之島】天城町(森田弘光町長)は22日、町内の山中で山菜採取中に崖から滑落して重傷を負い動けなくなっていた高齢男性(73)を発見、救助に協力した環境省徳之島自然保護官事務所の沢登良馬自然保護官(28)と麓良平同補佐(26)の2人=町内在住=を、「人命救助」功労で表彰した。

 同町によると、沢登自然保護官ら2人は今月2日午後2時すぎ、希少植物の確認などのため同町西阿木名地区の山中を訪れた際に、崖下から「おーい」と助けを呼ぶ声が。発見された同男性は「足が折れて動けない。昨日からここにいる」と話し、孤立無援状態で一昼夜を耐えていた。

 急こう配の山中のため、2人だけでの救出は困難と判断して119番に通報。救急隊員3人とともに崖上に救出し救急車で病院に搬送。男性は骨盤を2カ所を骨折しており、22日現在も入院治療中という。

 人命救助の感謝状贈呈式で森田町長は「重大な事故だったが、2人が遭遇・発見して大事に至らなかったことは素晴らしい」と感謝。沢登良馬自然保護官は「希少植物など自然保護では日ごろ人が立ち入らない所も調査。けが人を発見できたことは非常に運が良かった。当然のことだが、人命救助の一助になれて良かった」。

 世界自然遺産登録への取り組みとともに今後、観光客増が予想されるが、「島外の方はむやみに山に入らないで、ハブ咬(こう)傷などにも気をつけて欲しい」とも話した。

 2人には感謝状のほかそれぞれ、町獣肉処理施設「山猪(やましし)工房あまぎ」で売り出し中のイノシシ肉2㌔、町農業センター産の野菜の詰め合わせセットも贈られた。