学校でスマホ所持を認めるか議論が始まっている(写真はイメージ)
文部科学省は19日、スマートフォン(スマホ)や携帯電話の小・中学校への持ち込みを原則禁止にしている文科省通知を見直し、持ち込みを認める方向での緩和措置を検討していく考えを示した。奄美の小・中学校は、いまのところ通知に基づいて「原則許可していない」。高校は「学校判断」となっている。群島内10校の大半が持ち込み可(不可は4校)。校内のスマホ所持をどこまで認めるか、実態に応じた対応が問われており、家庭内ルールの徹底もより必要となりそうだ。
2009年1月、同省は小中学校にスマホなどの持ち込みを「原則禁止」で通達。公立校の多くはこれに基づく。しかし大阪府が今年4月から携帯の校内持ち込みを解禁することを受け、同省は方針転換。ルールづくりを含めた議論を進めるが、教育現場からは「混乱が予想される」として慎重論も出ている。
今回の見直し検討は、自然災害時の連絡手段、スマホの普及率の高さなど社会環境の変化がある。鹿児島県教委が公表したスマホ・携帯電話の所持に関する2018年度学校アンケートによると、県内の公立小中校は「例外なく許可していない」。遠方通学時の使用などやむを得ない事情は例外で、校内所持はほぼ認めていない状況だ。
「経済的な事情で購入できない家庭もある。紛失した場合の責任など、認めた場合に生じる格差や管理の対処が難しいのでは」(群島内の学校関係者)
同アンケートによると県内高校は、「条件付で許可」が84・5%。前年度から8・4ポイント増加しており、持ち込みは解禁状態となっている。
奄美の10高校(私立、特別支援学校含む)のうち、持ち込み可能校は6校。保護者、もしくは子どもとの連名で申請する許可制を実施し、入学説明会で適正使用とルール順守の徹底を求めている。
持ち込み可の多くの学校は「カリキュラムでの使用はない」ため、校内では電源オフにしてカバンに保管。通学や帰宅時など学校外での使用のみとして所持を許可する。なお授業でスマホを活用する大島高校では検索や資料閲覧の際電源を入れるが、指導教諭の前でのみと限定する。
「授業で使用しない備品を校内に持ち込むべきではない」として、遠方通学の生徒に対する特例措置を除き、「持ち込み不可」は4校。学業優先の方針から当分見直しはしない考え。
「街中に公衆電話もない時代。防犯などの観点も必要なので、(所持は)仕方がない」と理解を示す保護者も多く、市内の40代女性は「受験対策アプリも充実してきたので、子どもが上手に活用できるようサポートが大切。むしろ保護者が使用に対して理解が求められているのでは」。
一方で、長時間のスマホ視聴など依存性を危惧する、中学生の子を持つ男性保護者は「3時間以内など家庭内でルールを設けているが守らない。解禁になった場合、学校でも隠れて使わないか不安」と話し、子ども側に管理を任せることに疑問を呈した。
県教委義務教育課は緊急時の連絡ツールとしてスマホの必要性を認めるものの、「フィルタリングの設定など家庭内ルールの徹底も必要。学校と保護者の連携がより重要となる」として、国の対応を注視する意向を示している。